ゼミナールBおよび卒業研究(明治大学理工学部 2019年度秋学期-2020年度)

原田航 山本龍平

テーマ「推奨する映画に伴う統計解析」

昨今の動画配信サービスを使用していると,自分が見た映画をもとにおすすめの映画を表示できる機能が備わっている.このような機能を自分たちで実装することを目的とした.おすすめする映画を予測するため,機械学習の教師なし学習を用いて研究を行った.距離を測る部分の工夫や,重み付き平均を用いることで少ない情報量の中,精度の高い解析を行うことができた.

教科書

・藤澤洋徳,『確率と統計』,朝倉書店,2006.
・鈴木讓,『統計的機械学習の数理100問withR』,共立出版,2020.

感想

原田航

私が宮部研究室で学んだことは大きく2点である.
1点目は,統計学の具体的有用性だ.3年秋学期のゼミナールBを通じて,確率論と統計学の基礎基本を学んだ.
3年秋でベースとなる知識をインプットし,4年春学期がPythonやRを用いてアウトプットを行った.その為汎用性の高い統計学を学ぶことができた.この経験は明治大学理工学部数学科の中では宮部研究室でしか体験できないだろう.
2点目は学ぶ習慣だ.少し数学とは異なる部分があるが,この経験を感想と述べずして卒業はできない.まず述べておくが,宮部先生は「なぜ?」を追求する先生である.何かを証明する際に,基本を飛ばすことは許されない.だが今思うと,それが非常に良い経験だった.とにかく突き詰めて証明をし,理解を深めていく.この突き詰めて学ぶ習慣は,私自身数学の勉強以外にも役に立っている.プログラムのコードを書く時,語学を勉強している時などで役に立ち,社会人生活でも役に立つと確信している.
感想ということで好き勝手述べさせていただいているが、この文章を読んでいるのが幣学科の2年生だと願いたい.そしたら宮部研究室を選ぶことができるからだ.本当に愉しく学びのある学生生活を送らせて頂いた.この研究室で学び,卒業できることを誇りに思う.
以上が私が宮部研究室で学んだ感想だ.
だが、これで終わるといろんな方面からお叱りが来そうなので,卒業論文の感想を別途述べておくことにする.
卒業論文は比較的現実世界に近い事象を取り扱いたいと思い,映画のオススメを効率よく出すという2020年ではホットな話題に取り組んだ.難易度は高かったが,私自身考えながらコードを書いたりするのは非常に愉しかった.正直何度やりなおしたか分からない.恐らく1万回以上はコードを実行した.特にratingに対して,重みを付ける際どうすればよいのかと頭を悩ませた.やはり今回の卒業論文は宮部先生,山本君がいなかったら完成していないだろう.他にも,KMeans法も理解するのに時間がかかった.他にも色々と頭を悩ませ,スターバックスで6時間以上試行錯誤し続けた日々も今やなつかしい.
これからも職業的にもプログラミングに触れる機会は少なくないので,数年後また同じ環境でより良いオススメを出せるかどうか試してみたい.

山本龍平

私はゼミナールBを通して確率論と統計学の論理を,卒業研究を通してRやPythonのプログラミングを学んだ.

・ゼミナールB
私の中で印象深かったことが2点ある.1点目は輪講である.自分の担当する範囲を皆に授業形式で説明しないといけなかったので,予習の時点で人一倍理解する必要があった.さらに,単に理解するだけでなく,皆が分かりやすように説明することも求められていたので,授業を受ける時よりも輪講の方が深く理解することができた.また,自分の発表に対して質問や指摘を頂けるので,予習の時点で足りていなかった部分を補うことができたり,自分とは違った視点で物事を見ることができて,新たな発見をすることができた.2点目はゼミ合宿である.ゼミの仲間で一泊して集中的に数学を学習するというものだ.先ほど紹介した輪講はもちろん,単位交渉や自分の興味の持った分野をスライドを作って皆に発表すること,さらには数学談義も行った.1日中学習することは経験があったが,数学だけを丸2日行うという経験は初めてのことだった.ゼミ合宿前は心配だったが,始まってみると楽しくてあっという間に感じた.自分は数学が好きで数学科に入ってよかったと再認識できた機会だった.
学習内容の中で特に関心があったのは,先ほど紹介したゼミ合宿で発表したモーメント母関数である.関心を持った理由は,"モーメント"とは何なのか,指数関数が出てくるのは何故だろう,の2点であった.ここからは簡単に紹介していく.1つの関数から各次のモーメントを生成する方法があり,この関数をモーメント母関数という.また,モーメントとは,確率分布の特徴を表現する量であり,各次のモーメントは,1次が期待値,2次が分散,3次が歪度,4次が尖度である.指数関数が使われている理由は,元々存在していた確率母関数の問題点である"微分を繰り返すと毎回違った関数が出てくる"と"確率関数が非負の整数値しか使えない"の2点を解決するためである.私はモーメント母関数を調べていくうちに,幾度に渡るトライアンドエラーの繰り返しを経て,現代でも有効的に活用できるものが生まれたと感じた.

・卒業研究
4年生になり,卒業研究に励もうと意気込んでいた矢先に,新型コロナウイルスの影響で大学に行けない状況になったため,全てzoomを用いたオンライン授業になってしまった.当初は,オンライン授業が初めてで全く想像が付かなかったため,大学生活の集大成である卒業研究をこんな形で行って大丈夫なのか,上手くいくのかという不安があった.しかし,オンラインでの卒業研究を続けていくうちに要領を掴んできて,問題なく進めることができた.また,自粛期間が続き家に篭ることがほとんどだったが,ゼミを行うことで人と会話をすることができ,ストレスを抱えることなく過ごすことができた.
実際の内容は上記にも示した「推奨する映画に伴う統計解析」をテーマに行った.大学生活の4年間で学んだ知識をフルに活かしていった.何度も壁にぶつかりながらも,自問自答したり,仲間と相談しあったり,時には先生に助言を頂きながら,完成させることができた.宮部先生をはじめとし,同じ研究室の方々がいたため,自分自身も成長することができた.素晴らしい方々に恵まれて,とても感謝している.

最後になるが,社会に出ても,この1年半の経験を活かしてどんな困難にも立ち向かっていきたいと考える.