ゼミナールBおよび卒業研究 (明治大学理工学部 2016年度秋学期-2017年度)

奥城健太郎

テーマ「所得格差指数の比の検定と検出力分析」

私は卒業研究として統計学について学習した.その中でも興味を持ったのは,確率分布を利用して注目している現象がどのような仮説に従っているかを判定する仮説検定や,その精度を高めるために必要なサンプル数を調べる検出力分析であった.私はその応用例として所得格差指数の比の検定を行った.

所得の分布は対数正規分布で近似できることが知られており,その対数正規分布のパラメータを用いて所得格差指数であるジニ係数を表すことができる.このジニ係数を求めるには集団内すべての人の所得が分かっていなければならない.しかし,統計学の理論を利用すればランダムに選んだ標本から母集団のジニ係数を推定することができる.卒業研究では,2つの集団から標本を採ってジニ係数を推定する手法,そして,それらを比較する手法を考案した.

教科書

感想

卒業研究は自分のやりたいことができた.その中には宮部先生の専門分野から外れるものもあったが,二人で分からないことを一つ一つクリアにしていくのはとても楽しかった.手探りで研究を進める中で先行きが見通せず不安な部分もあったが,ゴールまでたどり着くことができたのでよかった.

研究室に配属されるまで,私は多くのことを受け身でこなしていた.しかし,ゼミでは自分から求めなければ何も与えられない.もちろんこれはゼミに限った話ではなく,社会で生きていく中では至極当然のことだ.この研究室に配属されてから,自分の行動,その結果に責任を持ち,日々の生活を能動的に過ごすことを意識するようになり,人として大きく成長できたと思う.

佐藤光

テーマ「Kolmogorov複雑性とその素数分布への応用」

Kolmogorov 複雑性とは、有限長のデータ列の複雑さを表す指標の一つであり、文字列 の複雑さを定式化したものである。このKolmogorov 複雑性には素数と密接な関係があり、素数分布への応用を考えることができる。卒業研究では、素数分布に関する有名な定理である素数定理の証明に迫ることを目標とした。

教科書

感想

ゼミナールB

3年次のゼミナールBでは、確率論のテキストを輪読しました。少人数で主体的に学ぶ環境にあるため、授業を受けて学んでいた時よりも細かいところまで理解を深めることができました。また、ゼミではただ数学の内容を学ぶだけではなく、数学書の読み進め方や問題への取り組み方、発表する際の心構えなど沢山のことを学ぶことができました。

卒業研究

4年次の卒業研究は、同期と学びたい分野が異なっていたので、宮部先生と一対一で進めていました。宮部先生は、他の人が簡単に理解できるような内容で私がつまづいている時でも、私が理解できるまで何度も説明してくださいました。また、論文の書き方やTeXのコマンドへのアドバイスなど、懇切丁寧に指導してくださいました。研究を進める中で、辛いことや苦しいこともありましたが、この研究室に入って本当に良かったと思っています。