次年度卒業予定の3年生向け
ゼミBでは計算理論可能性の理論を学びました。その中で主に、チューリング・マシンという計算モデルを用いて論理を展開し、判定可能な例や判定不可能な例などを学びました。
数学科の講義にない分野なので苦労するかと思いましたが、理解しやすい参考書を用いて講義が進められたため、理解を深めることができました。
また、2月には合同勉強会が行われ、この分野でどのような研究が行われているかを直接聴くことで、多くの知識を得ることが出来ました。
本来は計算論の基礎を学ぶための入門書を皆で読んで発表していく形なのですが、将来は集合論を研究したいと思っているので,特別な措置として一対一で集合論に関する基礎をゼミで発表し、質疑応答する形式で学んでいます.三年の秋学期では公理的集合論の公理から始まり,基数の基本性質までを取り組んできました.卒業するまでにこの方式で集合論をできるかぎり学び,研究の基礎体力をとにかくつけることを目標にしています.
毎週,先生の前で教科書としている本の内容の説明をするので大変ですが,好きな分野ということもあって挫けるほどの辛さではありません.むしろ自分の好奇心と毎週の発表というプレッシャーがいい具合に拮抗していて,無気力になることも燃え尽きることもありません.個人的には理想的なゼミ環境に恵まれていると思っています.また水曜日のお昼時には先生や同じゼミ生と昼食を持ち寄って話を交わす時間もできました.就活のお話や,大学院をどうするかなどの進路に関わるお話や,普段の講義ではされないようなやや込み入ったお話もすることができます.私は大学院に進みたいと思っているので、何度もそのことで相談をして参考となる話を聞くと共に、宮部先生からのお力添えも得ることが叶いました.
教科書:Herbert B. Enderton. A Mathematical Introduction to Logic. Academic Press. Second Edition, 2001.
4年春学期では,3年秋学期のゼミに引き続いた内容や,別の分野での知識を身に付けていきました.この頃には卒業研究のゴールがほぼ確定し,そこへと行き着くために逐次先生と相談しながら本を読み進めていきました. 公理的集合論の基数に関する性質から始め,連続体仮説の周辺の議論をある程度まで理解したのち,その後の集合論を着実に理解すべく数理論理学,特に春学期では一階の論理の体系を中心に勉強しました. 学期の始め辺りからは既に大学院進学に向けて動き出す必要があり,ゼミの内容以外でも先生に相談することが増えていたと思います.志望する研究室の教授に対しては必ず会う約束を取り付けなければならないのですが,その際にメールの内容をCC経由でチェックさせてもらい,自分の進学活動についてなるべくオープンに先生に伝えてその都度意見を頂きました.一方で院試に向けての勉強ばかりは自分の頑張りだけが頼りでした. 数学の本を独習するだけでは得られない知見や情報をゼミでは得られるため,今まで自分が持っていた集合論や論理学に対するイメージもこの頃には大分変っていたかと思います.また,ゼミ外ですが大学院進学のための研究室訪問も数学の知識を身に付ける姿勢や研究をする覚悟について知る良い機会となりました.
教科書:前原昭二.数学基礎論入門.朝倉書店.1977.
前期のゼミでは『基礎数学シリーズ23 数学基礎論入門』{前原昭二(1997)}を参考にして、数学的理論を形式化し、ゲーデルの考えた方法で不完全性定理 を証明するまでを学びました。 数学的な論理と超数学的な論理を行き来しつつ理解をしていかなければならないため、慣れるまで理解に苦しむことがありましたが、具体例等により徐々に慣れていき、不完全性定理を示す所までたどり着きました。 また、終盤ではゼミBで学んだ計算可能性とゲーデルが用いた方法との関連性にも触れ、興味深い内容を学ぶことが出来ました。
教科書:Kenneth Kunen. Set Theory. College Publications. Revised edition, 2011.
TBA
教科書:ゲーデルと20世紀の論理学第3巻 不完全性定理と算術の体系
卒業研究では以前から興味を持っていたゲーデルの不完全性定理を学びました。形式的 体系の中での証明は意味を考えずに証明をしていくため、理解することに苦戦しましたが 、今まであまり意識していなかった部分の証明を得ることが出来ました。また、第一不完 全性定理の証明を形式的に行うことによって第二不完全性定理が得られるという面白い性 質も理解することが出来ました。
卒業研究では定理の主張することと証明を理解できたため、定理の応用などを今後自身 で学んでいきたいと思います。