Research Activities

はじめに

 我々は、有機分子を中心とした材料の集積・複合化を図り、新規デバイス開発を行おうと日々努力しています。様々な分子の集積・集合化を試み、その構造解析や光学/電気応答の計測を行っています。
 研究室の皆さんには、このような研究を通して、物質を扱うセンスの取得と基礎物性の理解をしてもらいます。そして実験(分子集合体やデバイス作製・物性計測・装置開発 etc.)を行うことにより、机上の知識ではなく、経験に裏打ちされた物理と化学そして生物に及ぶ幅広い知識を身に付けてもらいます。
 扱っている材料は主に、
● 両親媒性分子
● 有機色素分子とその会合体
● 高分子電解質
● 高分子や金属コロイド
● タンパク質
です。現在行っている研究テーマを項目ごとに分けて簡単に説明します。

有機色素分子の会合体(微結晶)

 有機色素分子が会合(凝集)すると色が変わります(励起子準位の形成)。これは液体に溶けている状態と会合した状態とで、色素分子周辺の環境が異なることに起因します。結晶状に会合した場合、近接した分子同士の相互作用が重要になります。結晶構造解析を行い、観測される結晶前と後の色の変化を、理論的に解明することを目的に研究しています。
 また、同じ色素分子でも会合構造が異なれば、違う色の結晶ができます。同じ分子で、異なる色の会合体を作製し、得られた会合体の光学/電気特性を評価しています。
 色素分子会合体の基礎物性を明らかにして、有機ELなどの有機色素分子の凝集体を用いたデバイスの開発や設計に役立てようとしています。

両親媒性分子の水面上単分子膜

 両親媒性分子は親水基と疎水基を持つ分子です。両親媒性分子は、親水基を水相、疎水基を気相に向けて、水面上に浮かび、分子一層分の薄膜を形成します。系が簡単なので、両親媒性分子の基礎的な性質を調べるのに有効です。両親媒性分子の2次元の結晶形成や相転移、相分離を観測しています。また、単分子膜を基板に幾層も積み重ねたLB膜も作製しています。種々の材料のLB膜の光学/電気特性の評価も行っています。

非線形光学材料

 非線形光学効果とはレーザ光を持ちいないと、なかなか見ることのできない現象です。主に有機色素を用いた分子集合体を作製し、得られたサンプルの非線形光学特性の評価を行ってい、新しい非線形光学デバイスの開発を目指しています。非線形光学現象の中でも、光第2次高調波発生や、屈折率の変化、2光子吸収、2光子蛍光などの現象を波長可変レーザを用いて計測しています。

コロイド粒子表面の機能化

 直径1ミクロン以下のコロイド微粒子の表面に、有機薄膜コーティングして、コロイド微粒子を高機能化しています。バイオセンサー、ドラッグデリバリ、非線形光学材料などへの応用が期待できます。それぞれの目的に応じて、様々な材料のコーティングを行ってます。

バイオセンシング

 バイオセンサーとは、生体由来の機能材料(抗原や酵素)を利用して、特定の分子を選択的に検出するセンサーです。センシングには、光やレーザ、水晶振動子を用いおり、更なる高感度化、ダイナミックレンジの改善、計測の簡便化を目指し、バイオセンサーの作製と評価を行っています。

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