マイクロ・ナノ粒子の細胞内移行経路および細胞内輸送経路の解明

生細胞が細胞外の物質を取り込む機構を理解することは、薬物やドラッグキャリアを細胞内に送り届ける技術の開発において非常に重要です。細胞は様々なエンドサイトーシスによって外部物質を取り込みますが、どのような機構で取り込むのか、まだ分からないことが多いのが現状です。そこで、大きさや表面状態を制御した蛍光シリカ粒子を、細胞に与えて、どれくらいの細胞が粒子を取り込んでいるか、細胞がどのようなエンドサイトーシスで粒子を取り込んでいるのか、取り込んだ後、どのような経路で細胞内輸送しているのかを観察して、マイクロ・ナノ粒子が細胞内に移行する経路や細胞内輸送経路の解明を進めています。


様々な粒子の細胞内移行経路(エンドサイトーシス)


白い点線で囲った細胞が粒子を取り込んだ細胞.(a)細胞質の赤色蛍光像と明視野像の重な合わせ.(b)細胞質の赤色蛍光像と粒子の緑色蛍光像の重な合わせ.

レーザ走査型共焦点蛍光顕微鏡で、粒子の細胞内移行や細胞内輸送経路の観察を行っています。これまでの研究で、マイクロサイズの粒子であっても、細胞に静電吸するような粒子は、直接透過@とファゴサイトーシスEで細胞内移行するし、生体適合性の高い高分子でコートすると、直接透過@の経路は無くなり、マクロピノサイトーシスDが主な細胞内移行経路になることが分かりました。粒径を小さくすると、直接透過@で細胞内移行する割合が増えていくし、細胞内移行経路もサイズで異なることが分かってきました。さらに、粒子を細胞に与えている時間でも、細胞内移行経路が異なることが分かり、その原因を探っています。

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