マイクロ流路と暗視野光学系によるナノ粒子の計測技術の開発

研究室で合成したドラッグキャリアやプラズモニック粒子の機能性を定量評価するには、粒子の分散液中の数密度が分からないといけません。しかし、水中に分散しているナノ粒子の数を数えることは困難です。粒径100nmの粒子の像は、光学顕微鏡では観察できません。分解能の高い電子顕微鏡では、容易に観察できますが、真空中での観察になるため、水中での数密度を計測することはできません。光学顕微鏡では、ナノ粒子の像は観察できませんが、粒子からの光散乱は捉えることができます。紫外線や可視光の光源をナノ粒子に照射すると、レイリー散乱が起きます。散乱強度は、粒径に6乗に比例し、照射光の波長の4乗に反比例します。


散乱強度の粒径・波長依存性

粒径が小さいと散乱強度が低下するから、照射光の波長を短くして、散乱強度をかせぐというわけにはいきません。なぜなら、多くの物質が紫外線を強く吸収するからです。従って、粒径が100nm以下のナノ粒子からの散乱光強度は強くはないです。光学顕微鏡で試料からの散乱光だけを捉える方法に、暗視野照明法があります。しかし、ナノ粒子からの散乱光強度は強くないので、バックグラウンドを押えた暗視野を作るため、光の照射の仕方を検討しています。また、ナノ粒子はブラウン運動しているので、時間とともにランダムに移動してしまいます。そこで、マイクロ流路内にナノ粒子分散液を流すことで、粒子の軌跡を揃えることも検討しています。


ファイバー光源を使った暗視野照明の例


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