1μm以下のマイクロプラスチックが細胞に及ぼす影響

マイクロプラスチックとは、一辺が5mm以下のプラスチック片のことを指しますが、その下限はありません。近年、微小なマイクロプラスチックが、ヒトの血液・肺・心臓・腸・精巣・胎盤などから検出されたとの報告が相次いでいます。臓器内のマイクロプラスチックは、臓器を成す細胞と接触していることになります。これまでの研究で、粒径が1μm以下になると、粒子が細胞内移行する確率が各段に高まることは分かっています。そこで、1μm以下の微小なマイクロプラスチックが細胞膜や細胞に与える影響を調査しています。海水または人工的に粉砕したプラスチックをフィルタでろ過して、粒径1μm〜0.2μmの微小マイクロプラスチックを回収しています。


海水濾過の様子と回収したマイクロプラスチックの透過電子顕微鏡像.


蛍光色素溶液を内包した脂質二重膜小胞体.位相差顕微鏡で小胞体を確認し,蛍光顕微鏡で蛍光色素の漏出の有無を確認.

微小マイクロプラスチックが細胞膜に及ぼす影響の調査には、細胞と同程度の大きさで、細胞膜の基本構造である脂質二重膜の小胞体を用いています。蛍光色素を内包した小胞体の分散液に、微小マイクロプラスチック分散液を混合させて、小胞体の数密度と蛍光色素内包率の減少率を観察しています。人工的に粉砕した微小マイクロプラスチックでは、素材によって細胞膜への影響が異なることが分かってきました。また、微小マイクロプラスチックを含んだ培地を生細胞に与えることで、微小マイクロプラスチックの細胞毒性も調査しています。そして、微小マイクロプラスチックが、どのような機構で細胞に悪影響を及ぼしているのかを、解明しようとしています。

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