AMS LaTeXパッケージ
アメリカ数学会(AMS)がスポンサーとなってTeXを拡張したAMS-TeXが1982年に、1987年にAMS-LaTeXがリリースされた。 LaTeX単体でも各種の数学記号や数式表現が可能であるが、数式が複雑になると入力の手間も増える(行列表現がその典型)ために組版規則にAMSの方式を取り込めるようになっている。 現在、LaTeXでAMS-LaTeXを利用するために、パッケージamsmathの利用をプリアンブル部で次のように宣言する(amsmath は2005年以降のTeXシステムには標準で付属している)。 ここでは、AMS-LaTeXでさらにきめ細かく定義された様々な数学記号も使えるように amssymb を amsmath と併せて利用するようにしている(原則、この2つをセットで利用するとよい)。
\usepackage{amsmath,amssymb}
パッケージ amsmath および amssymb を使った実際の記述の実際は、AMSのAMS-LaTeX内(ここにAMS-LaTeX関係の全てのパッケージがある)にあるドキュメンテーションamsmath user's guideに説明されている。 また、LaTeX Companion なども参考になる。
LaTeX、特にAMS-LaTeXを使った数式の組織的な使い方に習熟するためには、AMS-LaTeXの環境 equation, gather, align, multline, split, flalign, alignatについて知ることが本質的(しかも、たいへん有効)である。
[参考]
- aamscis はAMS-LaTeXのためのドキュメントクラスで、定理などの書式がAMSの既定にしたがってタイプセットされる(日本語とはマッチしないので注意)。 AMS-LaTeXの記法を利用する場合には、amsmathやamssymbをLaTeX文書内(どのようなドキュメントクラスでもよい)で読み込めばよい。
- 非AMSドキュメントクラスを使わないでamsmathパッケージを使うときに、パッケージ amsthm(LaTeXのtheorem環境を拡張したもの)を使う場合には、amsmath を読み込んでから amsthm を読み込む必要がある。
- AMS関連のフォントパッケージとして、amsfonts 以外に eufrak(ドイツゴシック文字), eucalがある。
- 可換ダイヤグラムを記述する場合には、パッケージ xypic が必要になる。
利用フォントの拡大
数式内で次のようにして多彩なフォント利用が可能になる。
\boldsymbol{...} | 数字やその他のアルファベットをボールドに。\boldsymbol{x_0} で $\boldsymbol{x_0}$ に、\boldsymbol{\Phi} で $\boldsymbol{\Phi}$. | \mathbb{...} | Blackboard boldのアルファベットで表示。\mathbb{R}^n で $\mathbb{R}^n$. | \text{...} | 数式内で通常のテキスト表示。\frac{1}{\text{非零}} で $\frac{1}{\text{非零}}$ や \sum_{\text{$k$は偶数}} で $\sum_{\text{$k$は偶数}}$. |
---|
数学記号の拡大
LaTeXで用意されている数学記号よりも一層分かりやすく多様な記号を使うことができる。 以下は、そのわずかな例である。
LaTeX | AMSLaTeX | LaTeX | AMSLaTeX |
---|---|---|---|
$\leq$ ( \leq ) | $\leqq$ ( \leqq ) | $\geq$ ( \geq ) | $\geqq$ (\geqq ) |
$\leqslant$ ( \leqslant ) | $\geqslant$ ( \geqslant ) | ||
$\subseteq$ ( \subseteq ) | $\subseteqq$ ( \subseteqq ) | $\supseteq$ ( \supseteq ) | $\supseteqq$ ( \supseteqq ) |
$\subsetneqq$ ( \subsetneqq ) | $\supsetneqq$ ( \supsetneqq ) | ||
$\succeq$ ( \succeq ) | $\succcurlyeq$ ( \succcurlyeq ) | $\preceq$ ( \preceq ) | $\preccurlyeq$ ( \preccurlyeq ) |
$\succneqq$ ( \succneqq ) | $\precneqq$ ( \precneqq ) | ||
$\liminf$ ( \liminf ) | $\varliminf$ ( \varliminf ) | $\limsup$ ( \limsup ) | $\varlimsup$ ( \varlimsup ) |
$\int\int$ ( \int\int ) | $\iint$ ( \iint ) | $\int\int\int$ ( \int\int\int ) | $\iiint$ ( \iiint ) |
$\iiint$ ( \iiint ) | $\idotsint$ ( \idotsint ) |