テキストファイル文書を作成する
テキストエディタを使って、キーボードから入力した文字情報だけからなるファイルをテキストファイル(より正確には plain text file)という。 テキストファイルは文字が連続して並んだ文字列だけからなるので、そのままではワードプロセッサのように文字それ自体の大きさを変えたり色づけすること、さらには画像や図形を「見える」ように貼り込んだりすることができない。
それでも、(図や画像を貼り込まないとすれば)テキストファイルで読みやすい文書を作成することは可能であるし、たいへん教育的である。 ここでのアプローチは、文書とは何かを理解した上で、次を目標としよう。
- [LaTeX文書]
- わずか数枚から何百ページ以上にもわたる大規模なPDF文書を破綻なく正確にしかも洗練された美しい仕上がりで作成するLaTeX文書を作成する
- [HTML文書]
- Webブラウザで閲覧するリフロー型(使用するフォントサイズ、表示幅やページ高に併せて自動改行・再配置される)WebページのためのHTMLファイルの作成、およびその技術をつかったEPUB電子書籍の作成(と自分のWebページを使ってEPUB書籍やPDFファイルを配布)する
文書を作成するために、ワードプロセッサを利用する必要はほとんどない(文書に画像や音声を貼り込む、さらには動画も表示されるようにしたいという場合には「印刷」目的のワードプロセッサではなく、むしろインターネット環境にあるWebブラウザで閲覧できるWebページを作成した方が幾倍か気が利いている)。
文字列の入力、編集のためにエディタを使うことは軽快で高速である。
文案をテキストファイルで作成する利点は、以下の諸点が挙げられる。
- 文書レイアウトなど見た目の文書仕上がりを気にすることなく、論理構造を意識した文書作成に集中できる
- 他の情報源(WebページやPDFファイル)からの文字情報のコピー&ペーストなど、編集作業がやりやすい
- テキストファイルのサイズはたいへん小さいので、作成途中のテキスト文書を自分宛にメールするなどして、作業中のバックアップがとりやすい
テキストファイルの作成時には、そのファイル自身に関する情報(メタ情報(meta information)ということがある)をファイル内に書き込むようにするとよい。 メタ情報としてたとえば次のようなものが考えられる。
- ファイル先頭にアップデートした日付
- 引用・参考にした情報源(文献やURL)
- 後から利用するかもしれない図表に関する情報(ファイル名とその在りか、URLなど)
LaTeX文書やHTMLファイルとして作成したテキストファイルを利用する際には、こうして書き込んだメタ情報は、定められたルールにしたがってコメントアウト(comment out)すればよい。
テキストファイル文書の例
テキストファイルでの文書例を次に示そう。 読みやすさや正確さのために、次のようなルールにしたがって記述する。
- 階層にわけた見出し(head line)をつけて文章構造を表すように、大見出し、子見出しなどを使い分ける。 たとえば、[[大見出し]]、[小見出し] などと記す。
- 段落の区切りは、空行で表す
- 図や表を利用する時は、図番号、表番号とその説明(caption)と必要ならファイ名を添えて該当箇所に挿入する
- 文中で図表に言及するときは、図番号、表番号で指定する(「上・下の図(表)」や「左・右の図(表)」という指定の仕方は使わない)
- 参考文献では文献番号[1], [2], 3[],... と番号を付けてリストにする
- 文中で参考文献を文献番号で明示する
- 文字コードや改行コードを自覚的に認識しながら作成する
[タイトル] %目的:文書がどのような目的で書かれたのか %準備メモ: %修正履歴(日付付き) [[大見出しA]] [小見出しa1] ............ [小見出しa2] ............ 図1: 図の説明文 図のファイル名(ファイルの場所) 表1: 表の説明文 表のファイル名(ファイルの場所) [[大見出しB]] [小見出しb1] ............ [小見出しb2] ............ ........................ [参考文献] ............