後藤研究室

後藤四郎 (GOTO, Shiro)

後藤四郎 写真

研究テーマ

私の研究テーマは「可換環論」です。「可換環」とは,数や多項式(整式)や函数の集合のように,和と積が定義されていて,加・減・乗の3法を自由に行うことのできる世界のことです。このような「数学的構造」は,もともと整数論や解析学では自明に付与されていますが,数学の世界で,いろいろな,しかし違った場面に現れる「可換環」という数学的構造を抜き出して,数学的現象のある部分を統一的に調べ,可換環であるということから得られる情報を提供しようするのが,可換環論の目的であるといって良いかと思います。

現在では,このような研究姿勢はいろいろな分野の数学者に共通に見られますが,可換環論の場合は決して古い歴史を持つわけではなく,ヒルベルトを先駆者としながら,エミー・ネーター(Emmy Noether,1882-1935)が起こした一種の革命であったと考えられています。ネーター以前は,非常に具体的な「計算の時代」であったようです。1922年以降,ドイツのゲッチンゲン大学におけるネーターの講義や研究活動・日常がどのようなものであったかは,テントと言う人の書物(M. B. W. Tent, Emmy Noether: The Mother of Modern Algebra, A. K. Peters, Ltd. 2008)に活写されていますから,一読を薦めます。ネーターの学生の一人であったファン・デア・ヴェルデンの著書Modern Algebraはゲッチンゲンにおけるネーターの講義と思想をまとめた書物で,1931年に出版されていますが,45年前に私が学部の学生であったころはもちろん,長期にわたって,代数学研究に志す者にとっては,必読の書でした。今日ではいくつかの分野に分化した代数学が,まとまった一つの世界として提示されていることは,大変印象的です。

ひとこと

後藤研究室のある第2校舎6号館は,目には見えないけれど,大きな通路で世界と繋がっています。

数学の力を付けること, 数学の世界で優れた仕事をし, 研究者として偉くなることはとても大切なことですが, 一人の人間として成長するなかで 数学の力が備わって行くことが最も望ましいと,後藤は考えています。卓越した研究者の間には時折, 研究上の能力を除けば,人としては魅力がない,自分勝手な人が少なくないことは, 誉められたことではないですよね。人を信じ, いつも周りの人に対する配慮を忘れず, 切磋琢磨しながらも「助け合い 共に成長して行く」という心の持ち方ができない人は, 後藤の研究室では尊敬されず, 歓迎もされません。数学ができなければ,やはり困りますが。

後藤研究室は,自分の努力次第で自分の将来を大きく変えることができる研究室です。甘い研究室ではありませんが,数学に対し熱い気持ちを持った人であれば歓迎されますし,有意義で充実した時間を過ごすことができると思います。

皆さん,後藤研究室で,熱い数学を学んでみませんか?

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