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メイン研究室紹介廣瀬ゼミ

廣瀬ゼミ


廣瀬研究室には現在、大学院博士前期課程(修士課程)1年生が2名、学部4年生が5名在籍しています。

 

3年生の後期からゼミナールはスタートしますが,現在当研究室では
「関数解析学の基礎・基本」 樋口禎一、芹沢久光、神保敏弥著(牧野書店)
をテキストにしています。この本はタイトルどおり、関数解析の基礎的事項を学ぶための本です。関数解析を学ぶことは、偏微分方程式の解の存在などを論じるために、避けて通れない道なのですが、関数解析という言葉には馴染みがないと思うので、具体例を見ながら少々説明しておきます。

 

微分方程式u”+x2=0 は高校生にも解けます。実際、2回積分を行えばu=-x3/6+Ax+B(A,Bは任意定数)を得ます。また、u”+u=0はどうですか?これも1年生の「微分方程式」という科目で習ったように、特性方程式λ2+1=0を解くことにより、u=Ccosx+Dsinx(C,Dは任意定数)と求められます。では、u”+u2=0はどうでしょうか?この微分方程式は単純な形をしていますが、積分するとか特性方程式を解くとか、簡単な方法で解を求めることはできない、というか、そもそもこの方程式の解をよく知られた初等関数を用いて表すことなどできないのです。ではこの方程式について、これ以上議論することは無いのだろうか?そんなことはありません。

 このことを代数方程式の観点から見てみよう。代数方程式x3+12x2-54x-139=0の解を簡単に求めることはできません。(まぁ、3次方程式の解の公式というものはありますが。)しかし、計算機が発達した現在では、この方程式を満たす近似解を求めることなど1秒もあれば出来てしまいます。ただ、最初から解がないことが分かっていればパソコンを使うのは電気の無駄だし、逆に解があることが分かれば、あるいは、解がどのくらいの値になりそうか分かれば、パソコンを使ってより正確な値を調べてみようという気になるはずです。では、解の存在・非存在を論じるにはどうすればよいか―となれば、f(x)= x3+12x2-54x-139とおいて、微分などを用いて増減や極値を調べてみれば、もとの方程式には異なる3つの実数解があることは分かるし、グラフの概形を描くなどして、f(x)=0となるx がどのあたりにあるか知ることも出来ます。

 では、微分方程式の話に戻りましょう。微分方程式の場合でも、解を書き表すことはできなくても、解の存在を知るための手法はないのだろうか?というと、その代表的な手法として「変分法」があります。また、変分法により見つけた解に微分可能性があることを示すには「ブーツストラップ法」というものを適用します。ただし、これらの手法を学ぶためには、「関数の関数」つまり「定義域を関数の集合、終域を関数の集合とする写像」を扱う方法を学ばなければなりません。関数解析では、「関数の集合(すなわち“関数空間”)」と「関数の関数(すなわち“作用素”)」について学ぶことが目標となります。

 3年後期のゼミナールBでは、ゼミのテキスト「関数解析学の基礎・基本」の第1章を読み終えることを目標とします。1,2年生のときに学んだ「線形空間」「開集合、閉集合」「距離空間」などといった内容を理解していれば、そんなに難しくないでしょう。逆に、そういった基礎知識が身についていない者にとっては、かなり苦労することになると思います。また、重箱の隅をつつきまくり、不明な点はゼロにする意気込みでゼミを進めたいと考えています。なお、上記の「変分法」と「ブーツストラップ法」は大学院で本格的に勉強することになります。大学院進学希望者は、これら本格的な勉強の準備として、このテキストに取り組んでみてください。また、学部で卒業する予定の者は、数学の世界では、丁寧に知識を積み上げていき、矛盾なく論理を展開していくと、非常に美しい世界にたどり着けることを実感して社会に巣立っていってください(というのはオーバーかしら…)。いずれにしろ、卒論作成段階で、変分法の初歩くらいまで勉強できればよいな、と考えています。


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