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メイン研究室紹介後藤ゼミ研究内容

研究内容:後藤教授

後藤の研究テーマは,可換環論です。知りたい多項式を全部集めてできる,Noether環と呼ばれる集合(可換環)を主な対象に,その構造を調べ,分類する仕事をしています。内部構造にも外部表現にも興味があります。手法は,homology代数学と呼ばれる,幾何学から導かれた抽象的な方法です。もともと可換環論は「どうやって代数的な連立方程式を解くか」という問題に出発しています。代数的な連立方程式が大切である理由は,様々な図形が連立方程式の解の集合として記述できるからです。連立方程式を解くことは,そのような図形の持っている幾何学的な特性(固有の性質)を明らかにしようとすることであると,言い換えることもできます。可換環は,そのような図形の上で定義される「ある種の関数の集合」であって,可換環の構造解析が進むことは,そのような図形の幾何学的性質を理解する上でも,非常に大切なことでなのです。私は幾何学者ではなく,かなり固い「代数屋」です。直接的に図形の特性を調べるという研究はしていませんが,このような立場の可換環論にも深い興味を持ち,研究を続けて来ました。可換環論を通して,代数幾何学・代数的組み合わせ論・特異点論など,様々な分野の数学の発展に関与し,寄与したいと考えています。
 
後藤の研究成果は次の5課題に大別されます。

  1. Rees代数環構造論の創始[3]
  2. Buchsbaum環論の構築[5]
  3. イデアルの線型自由分解とCastelnuovo-Munford正則性に関する基礎研究[6]
  4. Cowsik予想への反例構成[7]
  5. Rees代数のCohen-Macaulay性判定法の確立[8]

(引用文献番号は,研究業績(抜粋)内の論文番号です。)

論文[3]は下田保博(北里大・助教授)との共同研究で,Rees環R(I)の環構造(Cohen-Macaulay性, Gorenstein性等)は,イデアル I の随伴次数環G(I)の環構造とそのa-不変量の言葉で完全に記述されることが示されています。この結果は (後にN. V. Trungと池田信によって大幅に拡張されていますが) ,その後20年以上に渡り,Rees環研究の指針となりました。Cohen-Macaulay環の拡張概念であるBuchsbaum環の理論構築は,W. Vogel, J. Stueckrad, N. V. Trung達との間で(協調的とはいえ), 激しい競争下に行われました。論文[5]には後藤の理論が最も端麗な形で集約されています。論文[6]はD. Eisenbudとの共同研究であって,Castelnuovo-Munford正則性に関する「Eisenbud-Goto予想」が提示された論文として知られています。論文[7]は西田康二(千葉大・助教授)・渡辺敬一(日大・教授)との共同研究です。symbolic Rees代数のNoether性に関するCowsik予想に歴史的な反例を提示しました。この仕事は,標数0の世界の現象を正標数の世界に帰着させて解決した点でも,強く印象に残っています。随伴次数環G(I)のCohen-Macaulay性を判定する実際的方法の開発では,W. Vasconcelos, B. Ulrich, N. V. TrungやC. Huneke達,世界中の同業者との数年間に渡る激しい競争の中で,遂に他の追随を許さぬ成果を挙げるに至っています[8]。この判定法も,Gorenstein性に関しては,改良の余地があり不満がないわけではないが,E. Hyryを始め後藤の学生の一人である居相真一郎(北海道教育大・専任講師)達によって継続され,優れた成果が挙がりつつあることは喜ばしいことです。Rees代数の環構造研究の内でも,arithmetic Cohen-Macaulay化の存在定理は,やはり後藤の学生の一人である川崎健(東京都立大学・助手)によって,理想的な形に結実しました。彼が用いた方法の中で最重要の部分は,後藤と山岸規久道(姫路独協大・教授)によって,共同研究の形で15年前に用意されていたことであり,川崎健の業績は,研究室における研究の継続性・発展という意味でも,意義深い業績であると思います。

最近は学生達と共に,BuchsbaumあるいはFLC局所環内のある種のm-準素イデアルの構造解析に従事しています。興味深い理論が霧の中から次第に姿を現して来ることを大変嬉しく思っています。


学生の声
教員からのメッセージ
業績等
講演等
略歴
研究内容

代数分野
 後藤研究室
 蔵野研究室
 中村研究室
幾何分野
 砂田研究室
 佐藤研究室
 阿原研究室
数理解析分野
 森本研究室
 廣瀬研究室
 二宮研究室
現象数理分野
 三村研究室
 桂田研究室
 上山研究室
確率統計分野
 岡部研究室
 對馬研究室
 松山研究室
数学教育分野
 長岡研究室
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