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大学院について

記事作成日: 2009年4月19日

オリジナル記事作成日: 2006年4月01日

大学院は博士前期課程(修士課程と呼ぶ人もいるがこちらが正式名称)2年と、博士後期課程3年からなります。前期課程を修了すれば修士(理学)をもらえ、後期課程を修了すれば博士(理学)(または学術博士)がもらえます(博士号ともいいます。)。いわゆる「学位」というのはこの博士号のことで、通常の年限ですすめば博士号を手にするのは27歳ということになります。(大学に9年間在学することになります。)

ここからはちょっと阿原の個人的意見ですが、博士前期(修士)とは、専門的な勉強方法を先生に本格的に教わる場。博士後期(博士)とは、自分で研究テーマを見つけていけるための訓練の場。そのように考えます。2006年度は博士前期課程に16人、博士後期課程に3人の進学者がいます。まだまだ少ないような気もしますが、例年よりは盛況です。

大学院の前期課程ではいくつかの授業を聞いて勉強することももちろんですが、担当教員とのゼミを通して、専門的で本格的な数学の世界に足を踏み入れます。(その意味では、学部4年までの数学は「ほんのさわり」に過ぎないと言うことがわかります。)ほとんどの場合は最近の原書を読み、場合によっては最新の論文を調べたりします。最新の論文を読むといっても最初はさっぱりわからないのが普通ですが、それはそれ、誰でも通る道ですから、数ヶ月もたてば少しずつ読めるようになってきます。博士前期ではなかなか自分で研究テーマを見つけることは出来ないので、「このあたりを研究して御覧なさい」と指導教官にちょいと背中を押してもらうのが普通です。

博士後期課程では、授業を聞かなければいけないという義務はもはやありません。指導教官とのゼミが中心ですが、見聞を広めるために研究集会や学会に出席して最新情報をキャッチしたり、自分の研究成果を発表したりします。そう、何を研究するかも自分で探し、そして自分で研究を深めていくのです。ここまでくると、ホントに面白いですよ!数学の場合には「新しい定理」が学術論文の基本です。つまり、これまで誰も証明できなかった(証明したことがなかった)命題を歴史上初めて証明できてこそ価値があるとされています。古くからある題材を新解釈した、ということでは論文と呼ばないのが数学では普通です。博士号をとるためには、自分の力で書いた学術論文が数学の世界で評価されている必要があります。学術論文誌に何編かの論文が掲載されるのが目安です。

ちなみに、私(阿原)は、1992年に博士号を取得しましたが、そのときのテーマは「数学研究におけるコンピュータ利用について」でした。いくつかのテーマ「結び目のエネルギー汎関数の問題」「平均曲率流といわれる偏微分方程式」「代数多様体の例であるフェルマー型代数曲面の位相形」について、コンピュータを使った実験を行い、数学の定理を導くという結果を発表しました。コンピュータという横糸で結ばれているというものの、題材はとりとめもなくあちらこちらの分野にまたがり、今でもなんだか自分の数学の専門はよくわからないような気がします。(修士論文は変換群論・シンプレクティック幾何という分野でした。)自分としては数学者よりはコンピュータプログラマだと思っていますが・・・

こんな風に書いてくると、「大学院へ進むのは大変で、とても自分なんかがやっていける世界ではない」と思ってしまうかもしれません。

そんなことはありません。いや、ないはずです。一番大切なのは「数学がおもしろくて勉強を続ける意欲がある」ということではないでしょうか。確かに頭がよければ簡単に理解できたり簡単に新しい定理を証明できたり出来るかもしれません。でも、時間を競っているわけではないのです。もしあなたが誠実に数学と向き合っていれば、数学の神様(がいるのかどうかはわかりませんが)はあなたにそっと新しい定理を耳打ちしてくれるものなのです。


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