幾何学の様々なテーマに興味があります。最近では特に、高次元多様体上のゲージ理論、調和写像論および等径関数の理論を研究しています。4次元多様体上のゲージ理論では、非常に深遠な理論が構築されていますが、この成功も実4次元が四元数1次元であることに由来しています。そこで、主として四元数構造を許容する高次元多様体上で理論を展開しています。たとえば、調和積分論を経由した解析的な議論から消滅定理を導く、ツイスター理論を通じて代数的ベクトル束の理論との関係を築く、またリー群の表現を利用してモジュライ空間の構成をするといったことを行っています。
また、ゲージ理論的な観点が、調和写像論や等径関数の構成に有用であることを示せたので、この方面からの新たな理論の構築も行っています。一例として、幾何構造を決定する非線型偏微分方程式に対して、対応する線形方程式を見出すことにより、ベクトル束のモジュライ空間の構成、とくにインスタントンに対するADHM-構成法に類似した調和写像のモジュライ空間の構成を行いました。この一般論を具体例に適用することにより、数種類の分類定理を得ることができます。また、複素ベクトル空間内のLagrange錐のモジュライに対するJoyceの不等式の別証明も与えることができます。本理論の可能性を広く探ることが最近の関心事です。
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