平面上の曲線 y = x^n と直線 y = 0 は、原点 (0,0) において接してます。この場合は、原点での交点数 (この曲線と直線の接する度合い) は n になります。それは、二つの式から変数 y を消去すれば一次式 x の n 乗になるかです。平面上の非常に単純な二つの曲線の交点数はこのようにして求めることができるのですが、これがもっと複雑で次元が高い二つの図形が一点で交わっている場合にはこう簡単ではありません。これを代数的に記述し計算することが私の現在の研究テーマの一つです。
私は、代数学の一部の可換環論という分野で研究を行っております。代数学というと、「単なる文字式の変形」という殺伐としたイメージを皆さんは持っておられるかもしれませんが、そうではありません。上のテーマでもわかりますが、可換環論では、空間の性質を代数的に理解することを一つの目的としております。「絵によって代数を理解し、代数を使って絵を描く」これが、可換環論の魅力です。
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