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配布資料

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過年度の労働講座の実践報告

PDFファイルをダウンロードできます。

青野恵美子「大学における労働教育:明治大学2012年度労働講座の実践から」『労働法律旬報』1777号(2012年10月10日発行)
青野恵美子「大学における労働教育:労働講座の実践から学ぶこと」『労働法律旬報』1740号(2011年3月25日発行)

2023年度 労働講座企画委員会寄付講座 特別編
「未来の自分をつかめ~OB・OGの働き方をとおして考える」シラバス

2010年度から開講してきた同講座は、コロナ禍による労働環境の変化に対応して、新しい労働講座をつくることに取り組みます。今年度もその手がかりとして、労働組合やNPOのスタッフ、現役の大学生、さらにはさまざまな社会問題にとりくむ人たちとの意見交換と協同作業を行いました。

2023年7月13日(月)2限(10:5012:30

講義「病院の労働環境とアート」

講師:衛藤桃子さん( パフォーミング・アーティスト@耳原総合病院)
コーディネーター:早川佐知子(明治大学)
受講者数:75名

パフォーミング・アーティストの衛藤桃子氏をお招きして、病院の労働環境と芸術に関する講義をおこなった。同病院は2015年の新病院建設を機に、ホスピタルアートを積極的に導入してきた。ホスピタルアートは患者のためであり、そこで働く職員のためでもある。今回の講義では、職員への効果を中心に話を伺った。
衛藤氏はアートの中でも、動的なアートを中心に担当されている。病院ホールでの朗読劇の制作・上演、コンサートの開催、院内ラジオのDJ、啓発動画の制作など、前衛的な取り組みを行っていると言ってよい。当初は、患者からも職員からも違和感をもたれることが多かったが、継続しているうちに、肯定的な言葉をもらうことが増えたという。
ご本人の言葉を借りれば、衛藤氏が病院で担っている役割は「余白」なのだという。ライン部門でもない、スタッフ部門でもない、言わば組織を豊かにする仕事という意味である。職員が、自分の組織を改善したいと考えても、通常業務の傍らで行うことには限度がある。そのようなときに、気軽に相談することができ、アートのプロフェッショナルとして力を貸してくれると、想像以上の効果を発揮するようだ。
現在の病院では、診療報酬の支払いが厳しいことから、人員を限りなくタイトにする傾向があるし、仮に増員するとしても、ライン部門を優先するだろう。しかし、無駄がない組織は、息苦しく、脆いものである。病院でアート活動など、無駄と切り捨てることは簡単だが、心身を病む患者を癒すことが病院の目的の第一とするならば、ケアをする職員たちにゆとりを与えること、人間らしい感性を取り戻させることは非常に重要である。


講義中の衛藤さん

2023年11月12日(土)100012:00

ワークショップ「CR手法で職場のコミュニケーションを考える」

ファシリテーター:花崎 晶さん(公認心理師)
コーディネーター:青野恵美子(明治大学労働教育メディア研究センター)
参加者:8

今回のワークショップは、「CRconsciousness-raising:意識高揚または意識覚醒)という手法を活用して、職場における経験について語り合った。「CR」は共通のテーマをもとに、各々の体験や感情を語り合い、聞き合うというグループワークである。
当日は、同僚や上司とのコミュニケーションに悩む発話者が、参加者からの意見や感想を共有し、自らが思いつかないような意見や感想を得て、職場のコミュニケーションについて捉え直す機会となった。


資料

2023年12月14日(木)4限(15201700

ゼミナール「大学4年生&労働組合員とのディスカッション:教えて大学生!」

テーマ:大学生にとっての働くこと、労働組合
参加者:イオンリテールワーカーズユニオンの皆さん 
明治大学商学部・久保ゼミナールの4年生13名
コーディネーター:久保隆光(明治大学)

「教えて大学生!」と題して、イオンリテールワーカーズユニオンの組合専従6名のみなさんと明治大学商学部久保ゼミナール4年生とのグループディスカッションを行った。イオンリテールワーカーズユニオンは、企業で「働く・働き続ける」というテーマのもと、さまざまな視点(若手、定年、経営、現場等)から政策課題の議論を深めるためのインプットの機会を設けている。
その一環として、今回は大学生の「働く」ことについての意識調査を行うことがテーマであった。こうした背景には、近年の売り手市場のなか新卒者をいかに確保するのか、どのようにすれば企業を選んでもらえるのか、そして長く働いてもらえるのかなど、企業が抱える優秀な若手人材の獲得、維持についての課題が存在していた。
そこで、就職活動を経験した4年生に対して当事者の経験、視点から、「働く・働き続ける」ことに対するグループディスカッションが行われた。その一方で、これから社会に出る大学生の不安や疑問に対して、社会人の先輩であるイオンリテールワーカーズユニオンからのアドバイスの機会も設けられた。



 

講義「日本企業の雇用慣行と労使関係から『労働のリアル』を学ぶ」(全3回)

2023年12月18日(月)4限(14:40~16:10)

第1回「職場のリアル 人事マネージャーが語る『日本的』な働き方/働かせ方」

講師:神谷篤史さん(民間企業・人事部マネージャー)
コーディネーター:石川公彦(沖縄大学)
受講者数:130名

初回の講義は使用者側からの視点に立って、「労働のリアル」を学ぶこととした。人事部の現役マネージャーである神谷さんをゲスト講師に迎えて、日本企業の雇用慣行や人事制度についてお話を伺った。講義の内容は、会社の入口から出口までの流れに沿って、「採用」「評価(賃金・昇進)」「企業内教育」「退職制度」が取り上げられ、具体的な話が展開された。単に人事労務の諸制度が解説されるにとどまらず、「就職する際に求められるものは何か」「日本企業で働くとはどういうことか」「職場では何がどのように評価されるのか」といった、普段、なかなか聞くことのできない運用実態にまで迫り、学生たちが「労働のリアル」を学ぶ貴重な機会となった。

配布資料

2023年12月25日(月)4限(14:4016:10

第2回「日立製作所労働組合について」

講師:船山秀高さん(日立グループ労働組合連合会・政策局長) 
コーディネーター:石川公彦(沖縄大学)
受講者数:130名

2回の講義は労働者側からの視点に立って、「労働のリアル」を学ぶこととした。日立製作所労働組合の船山さんをゲスト講師に迎えて、日本企業の労働組合、いわゆる「企業内組合」についてお話を伺った。講義の内容は、労働組合とは何か、日立に就職してから労組に加入するまでの流れ、日立グループ連合・日立労組の組織構造や役割、年間のスケジュール、普段の活動内容など、労働組合の一般論から日立労組の具体的な活動内容まで丁寧にお話をいただいた。労働組合についてこれまで知ることも、意識することもなかった学生たちが、その機能と役割の重要性に気が付く機会となり、提出レポートでは多くの質問と感想が寄せられた。

配布資料



2024年1月15日(月)4限(14:4016:10

第3回「ユニオンの実際~名古屋ふれあいユニオンの活動を通じて」

講師:鶴丸周一郎さん(名古屋ふれあいユニオン・運営委員長) 
コーディネーター:石川公彦(沖縄大学)
受講者数:130名

3回の講義も労働者側からの視点に立って、「労働のリアル」を学ぶこととした。名古屋ふれあいユニオンの鶴丸さんをゲスト講師に迎えて、一人でも入れる形態の労働組合である合同労組、いわゆる「ユニオン」についてお話を伺った。前回学んだ「企業内組合」とは異なる組織形態の「ユニオン」の活動を知ることで、複眼的に「労働のリアル」を学ぶ機会となった。講義の内容は、中小企業が多くを占める沖縄の現状に対して示唆に富むものであった。「ユニオン」では、まさにいま労働問題に直面している労働者が駆け込んでくることが多く、鶴丸さんの緊迫感ある活動内容や考えていることに対して、学生たちは多くの刺激を受け、提出レポートに熱心な質問を寄せていた。

配布資料



2024年1月18日(火)2限(10:5012:30

講義「人との温かな絆を育む介護や福祉の仕事」

講師:吉井健人さん(高齢者訪問介護部門管理者)、石月奈美子さん(重度心身障がい児通所施設・看護師)
コーディネーター:早川佐知子(明治大学)
受講者数:75名

株式会社ホープウエルの訪問介護部門(カレッジケア)で管理者を務める吉井健人氏と重度心身障がい児通所施設(カレッジガーデン)で管理者を務める石月奈美子氏をお招きした。
介護労働といえば多くの場合、高齢者を想起するであろう。しかし、吉井氏の勤務するカレッジケアでは、高齢者と並行して、障害者の介護にも携わっている。今回は、むしろ障がい者ケア、特に障がい児の話を中心にお伺いした。
吉井氏が強調されていたのは、介護はチームワークで行うものだということである。ケアマネージャーがケアプランを立て、それに従って介護福祉士や看護師、理学療法士などが利用者ごとに一つのチームを作って支援してゆく。それぞれに役割があり、その観点から意見を伝えてゆく。この体制について、ケアプランのサンプルを用いながら説明をしていただいた。
介護サービスの利用者は、もちろん訪問介護だけでなく、通所介護を利用することもあるし、病院などにも同時に通う。このように離れた場所・時間に点在する介護者たちを上手に結び合わせてベストな体制を作ることに尽力される方々に感銘を受けた。
そして、障がい者福祉、とりわけ障がい児の場合には、特別支援学校や就労支援施設にも通うことがある。学校への送り迎えにも、さまざまな医療器具を携えて移動しなければならないそうで、車椅子も相当な重量になるとのことであった。移動中に器具が外れないよう、段差などに細心の注意を払っているとおっしゃっていた。
重度心身障がい児の訪問ケアについては、動画を見ながらご説明いただいた。入浴する前後に必要な処置は想像以上に多い。介護福祉士と看護師がペアになって取り組む丁寧なサポートで、安全さや快適さを提供できているようであった。
石月氏からは、重度心身障がい児のデイサービス、そのための施設の運営についてお話を伺った。障がいの発生原因はさまざまで、現在は医療技術の進化により、障がい児が増加傾向にあるそうである。こちらの施設に通う子どもたちは、常に呼吸や食事の医学的管理を行う必要があり、1人に対して看護師と保育士がついてサポートを行っている。この責任の重さに非常に驚いたが、石月氏をはじめスタッフの皆様は、使命感をもって、前向きに取り組んでいらした。
それでも、療育ということを重視し、それぞれの子どもの特性を考慮したレクリエーションを提供しているとのこと。ほぼ毎日、団地内の公園へ出かけ、遠足や季節ごとのイベントも実施しているそうである。
現在の定員では地域のすべての需要には応えきれていないとのこと。障がい児とそのご家族の暮らしは、なかなか見えにくいものであるが、もっと支えが必要な人たちが地域社会に大勢いらっしゃる。どのようにSOSを拾ってゆけばよいのか、今回お話を伺ったような専門職の方々以外も、考える必要があるように感じた。



















明治大学
駿河台校舎リバティタワー○○教室

コーディネーター 
経営学部 早川 佐知子 

支援組織(明治大学の特定課題研究ユニット)
LinkIcon明治大学労働教育メディア研究センター

本講座は労働組合や労働NGO、個人で構成される労働講座企画委員会[代表:平野敏夫(NPO法人東京労働安全衛生センター)]の寄付による講座です。主な寄付者は、公益財団法人総評会館、全日本自治団体労働組合(自治労)、日本教職員組合(日教組)、産業別労働組合JAM、一般財団法人日本教育会館、LaborNow です。