もともと英語の成績は決して良い方ではなかった.大学生の時,英語の先生から後期の授業の開始時に「この中で前期の単位を一人だけ落とした学生がいる.」と言われ,まさかそれが私だとは成績表を見るまでわからなかったくらいである.しかし,この仕事に就いてからどうしても英語力が必要となった.読むだけでなく,書く,そして,話す力が必要となった.もちろん,大学の授業に参加できればそれが最も良いのだけど,すでに卒業しているのでそんなわけにも行かず,個人的に今でも細々と勉強を続けている.現在,万全とはいえないまでも,海外旅行では全く困らない程度にまで向上した.以下,これまで英語を学んだ経験から有効であった勉強法を列記する.「英語を学ぶ」の参考になれば幸いである.
書籍
英語の勉強に役立つと思われ,しかも楽しく読める書籍を列記します.
日本人が誤解する英語,マーク・ピーターセン,光文社知恵の森文庫,2010
このページでは,幾つかの書籍が紹介されている.それらの本でも本書でも「英語は論理」という姿勢が強く感じられる.個人的には論理を尊ぶ者なので,もっと早くこのことに気が付いていたら私の英語力はもっと改善されていただろうと悔やまれる.ただ,悔やんでばかりでは仕方がないので,本書を何回も読み(既に2回目),本文中の例文を暗記するように努めることにする.暗記するという行為は脳にかなりの負担を強い,眠くなったり辛くなったりするのだが,先日,多摩センターのホームで”楽しい”と思える瞬間があった.まだまだ行けるかも.
本書は日本人の英語に対する弱点を見事に突いていると思う.内容があまりにも素晴らしかったので,次に本屋に行った際に岩波新書から発刊されている著者の書籍3点をまとめて購入してしまった.著者は本学の教授で残念ながらお会いしたことはないが,チャンスがあったら本書にサインしてもらうべく密かに目論んでいる.(11/09/10)
イメージでわかる単語帳,田中茂範,佐藤芳明,河原清志,NHK出版,2007
英単語を日本語と結び付けて覚えるのではく,コアという概念を導入し英単語の持っている感覚から日本語訳を想像するという手法が秀逸.例えば,onという英単語を"上"という訳語で覚えてしまうとon the wallがうまく訳せない.答えはここには書きません.atやover等も解説の図を見ながら頭の中にコアイメージを作っておくと,訳を考える際に応用できる機会が増えます.(08/03/05)
ハートで感じる英文法,大西泰斗,ポールマクベイ,NHK出版,2005
文法を基本イメージを使って説明する手法は私にとって経験のないものでした.「目からうろこ」の説明の連続なのですが,特にLesson9「過去形が過去じゃないとき」での過去形の説明が素敵です.なお,2007年1月から3月まで再放送となっていた際に番組の方も楽しみました.内容そのものがテレビ向きかもしれません.(08/03/05)
文法がわかれば英語はわかる!,田中茂範,NHK出版,2008
この本の『はじめに』に書かれている『文法が単なる約束事の集合ではなく,「なぜそうなるのか」という問いに対して,説明することが可能である(accoutable)ということです.』という文章がこの本の特徴を最大限に表していると思います.英文法を理解することよって,暗記という勉強法に頼らない英語学習が可能となるだけでなく,今まで覚えてきたこともかなりの部分は説明できるようになりました.理系の語学学習法といえるでしょう.(08/03/07)
英語耳,松澤喜好,アスキー出版,2004
在外研究での米国滞在で得た経験の一つは「英語は発音が大切」でした.rとl,vとb,sheとseeの発音の違いを対比させながら発音練習することによって,逆にヒアリング能力が向上するのを実感しました.日本に戻ってきた時,この本と出会いましたが,著者が主張する『知らない音は聞き取れない』は正にその通りと考えます.この本の内容である「舌の位置」は,正しい発音を生むための辞書として重宝しています.(08/03/08)
NHK教育テレビ
最近,英語の勉強はもっぱらNHK教育テレビに依っている.新感覚キーワードで英会話,英語でしゃべらナイトがお薦めだが,一日まるごと英語で話そう!は終わってしまったが楽しく見ることができた.これら以外の番組も英語を学ぶだけでなくテレビ番組として楽しく見ることができる.続けることが大切なので楽しく見ることのできる番組を選ぶことは,上達には多少遠回りでも価値があると思う.HDDに貯め取りして,空いた時間にせっせと見るのが良い.それから,番組終了後には番組を書籍としてまとめられ発売されることが多いので,それを読むのも効果的である.(06/12/31)
NHKラジオ英会話
中学生の頃はNHKラジオを聞いて勉強していた時期があった.多分,そのときの経験が呼び覚まされたのだと思う.20代の後半のある時期に集中してNHKラジオ英会話を勉強した.毎日,ラジオを録音して電車の中で聞く.同時にスキットを丸暗記した.そらで言えるくらい徹底して覚えた.3ヶ月続けた頃,ある夜英語で話をしている夢を見た.朝目覚めると英語が話せる気がした.その時から,脳に英語を日本語に訳すことなく直接理解することができる回路が生まれたのだと確信している.丸暗記という勉強方法は決して勧めない.単語や熟語の丸暗記はその労力の割に得られるものが少ないと感じていた.まとまった文章を丸暗記するほうがまだ良いがそれでも大変な根気が要る.しかし,人生の中で一度はまとまった英語の文章を集中的に丸暗記することが経験として必要であろう.その文章がそのまま役に立つと考えてはならない.頭の中に英語を直接理解できる回路を作ることが重要である.一旦できたその回路を有効に活用すれば,その後は暗記に頼らない(不要とは考えていない)英語の勉強が可能となる.(06/12/31)
英会話学校
高校大学の一対多の授業では話す機会はほとんどない.会話力の向上に英語を話す機会を作る必要がどうしてもあると考えた.週に1回程度,少人数クラスの英会話学校に通った.10年間程度通った中で2回学校を替えた.多少の効果はあったと思う.会話とは背景が理解できていれば言葉が十分でなくても伝わる.それが分かったことが大きな収穫であった.(06/12/31)