明治大学改造論

第6期(2002年3月卒)
澤田 直樹

 現在、明治大学は危機的状況に立たされている。受験者数は年々減少し、偏差値も低下傾向にある。以前は「打倒早稲田」と勇ましく声を上げていた学生たちの間でさえ、現在では「振り向けば法政」と囁かれている。筆者はこのような状況に対し、非常に強い危機感を抱いている。今こそ我が愛する母校明治大学は「火だるま」になってでも改革をやり遂げ、明大を「不沈空母」のようにし、早稲田大学・慶応大学に立ち向かわなければならない。そこで筆者は、以下のような改造論を提唱する。

1・明早戦改造論

 我が明治大学の最高の誇り、それは明大ラグビー部である。特に、明早戦はNHKが放送するなど、まさに国民的行事といっても過言ではない。

 ところで、明早戦終了後の新宿で、酒に酔った明大生が器物損壊事件を発生させていることを、皆さんは御存知であろうか。一説によれば、損害額は数百万円に達するそうであり、その損害に対する賠償金は全額大学側が負担するそうである。この事実を知り、筆者は、明大生の国を思う気持ちに心を打たれ、涙を流さずに入られなかった。

 経済不況のため、需要喚起が求められている昨今、新宿という一地区に、一晩で数百万円もの需要を喚起させる経済政策が他にあるだろうか。明大生はまさに、日本経済のために「創造的破壊」を行っているのである。私人でありながら、国家のために、あえて自らの手を汚すという、このすばらしい愛国心。現在の日本人にかけている自己犠牲の精神を、明大生は有しているのである。しかし、この経済政策は、年に1,2回しか行われていないために、日本全国に明大生のすばらしさが伝わっていない。政府は今すぐ『ラ式蹴球明治対早稲田戦を一年間に百戦行うことに関する法律(明早戦法)』を成立させ、一刻も早く、この経済不況から抜け出さなければならない。

2・授業改造論

 日本の大学の授業は通常「つまらない」の一言で片付けられている。教授達は「学生は寝ていてくれればいい」「研究で成果を出せばいい」「金さえ払ってくれればいい」と考えているのではないか。このような学生不在の授業が全国的に行われていることは、まことに悲しいことである。

 しかし、このような現状に小さな希望を与えている教授陣がいる。それが明治大学の教授陣だ。とかく若者の忍耐力の無さが指摘される昨今、明大教授陣は学生達に忍耐力をつけさせようと、日々授業の中で努力している。催眠術をかけているような語り口。壁画や古文書、もしくは落書きのような板書。これらはすべて「明大生にだけは、社会に出ても恥ずかしくない忍耐力をつけさせてあげたい」という明大教授陣の親心から来ているのである。しかし残念ながら、このありがたい親心は、明大生の心に伝わっていない。大学は学生の首に縄を括り付けてでも、授業に参加させねばならない。そして同時に、これらすばらしい授業の数々を全国的にPRし、明大教授陣の評価を、不動のものにしなければならない。

3・政治家養成論

 日本国民の政治家に対する視線は厳しい。特に早稲田大学や、不祥事官僚を毎年多数輩出している東京大学出身の政治家の愚行には、目を覆いたくなる。このような腐りきった政界の中で、体や命を張って政務を行っている政治家がいた。それが明大出身村山富市元首相である。

 彼については「トンちゃん人形」や「まゆげ」しか印象に残っていないという人も多いであろう。しかし、彼は命を張った、すばらしい仕事を、世界を舞台にして行っていたのである。

 時は1994年7月にさかのぼる。この時、村山首相はナポリサミットの夕食会で下痢を起こし、入院してしまった。思慮の浅い、愚かなマスコミ達は、「体調の管理がなっていない」と批判した。しかしあの下痢には、首相の隠された主張があったのだ。諸外国から、市場の開放を強く要求されている日本。首相は外国の食べ物によって下痢になることで、外国からの食料品輸入にNOをつきつけたのだ。とかく、自らの保身と選挙しか頭にない現在の政治家に、このような自己犠牲の精神はあるのだろうか。答えは「否」である。それならば、明治大学は、村山元首相のような明大生を政界に送りこみ、日本の繁栄に貢献するべきなのだ。

4・芸能人獲得論

 少子化が進む日本では、どこの大学も受験生の獲得に、血眼になっている。受験生増加策の1つとして、芸能人の獲得が挙げられる。早稲田大学:広末涼子、立命館大学:倉木麻衣。大学側は、芸能人をエサにして、受験生を獲得しようとしているのである。筆者はこの方法自体に、異議を唱えるつもりはない。しかし、早稲田に広末がふさわしいだろうか。答えは「否」である。大学は、自らの体質にあった芸能人を獲得しなければならない。

 その点、明治大学は、プロレス界から大仁田厚を獲得するという、自らの体質にあった、すばらしい補強を行った。これによって、明大への評価も、また1つ上がったであろう。しかし、このカンフル剤も一年もすれば切れてしまう。したがって、今後も明大は芸能人を随時獲得していかねばならない。

 まず始めに、以前替え玉受験で不合格にした、なべやかんを、三顧の礼をもって迎え入れなければならない。その後も、ケイン・コスギの獲得や、たけし軍団へ指定校推薦の枠を与えるなどの方法で、戦力を補強していくべきだ。明大は自らの体質にあった戦力補強で、明治大学の名を全国にアピールしなければならない。

 以上、四つの改造論を記した。筆者にこのような文章を書かせたのは、ひとえに明大に対する愛校心である。明大は「月月火水木金金」のスローガンの下、以上の改革を断行しなければならない。これらの改革が達成された時、我が明治大学は二十一世紀に羽ばたくお笑い大学として、永久に不滅となるであろう。

2000年11月執筆


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