夏の甲子園なんてきらいだ

   西川伸一  * 執筆日2002年8月11日/産経新聞「談話室」に投稿→不採用

 今年も夏の全国高校野球がはじまった。わたしはこれがあまり好きではない。

 まず第一に、不健康である。試合は炎天下で行われる。グラウンド内の気温は40度以上になろう。元巨人のクロマティ氏がかつてその著書『さらばサムライ野球』で指摘したように、まさしく「クレージー」である。熱中症が当然心配される。また連戦による過労、故障は若い彼らの選手生命を奪いかねない。

 ついでながら、たかだか高校生のアマチュア野球をNHKが全国完全中継するのもいかがなものか。

 第二に、不健全である。選手は丸刈りを強制され(いまでは「長髪」を認める野球部も増えたようだが)、サイレンとともに試合が開始され、全力疾走が常に求められる。けがをおそれずフェンスに激突することが美しいとされる。根性論、精神論のきわみ。

 軍国主義そのものに映る。

 これを主催しているのが、朝日新聞社であるところが、ブラックユーモアである。そういえば同社の社旗は、旧軍の軍艦旗などとして使われた旭日旗に似ている。


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