『悪の枢軸』はどっちだ

   西川伸一  * 『QUEST』第19号(2002年5月)「編集後記」

 ☆きょろきょろといろいろな新聞に目を通すようにしている。出勤途中の駅の売店で、毎日・読売・日経・産経・東京を日替わりで買うのが最近の日課になった(朝日は家で購読)。その中で、東京新聞の毎月第一・第三月曜に、元中日新聞記者で、現在は欧州駐在同社客員の熊田亨氏の秀逸なエッセーが連載されているのを知った。すでに今年の2月4日で332回を数える。

 ☆熊田氏いわく、アメリカはヨーロッパ、ロシア、中国、日本といった端役を従えた桃太郎帝国。これが「悪の枢軸」征伐に勇み立っている。その法的措置が「USA愛国法」であり、財政的措置が軍産複合体への数百億ドルの緊急予算拠出である。

 ☆おそらくブッシュ2世もプレッツェルを食べながら見たであろう、第36回スーパーボウルは予想どおり(?)ペイトリオッツ(愛国者)が勝った。今回のスーパーボウルのロゴは一度決まったものを、愛国心を強調するデザインに変更したそうだ。

 ☆マッカーシズムを思い起こさせる集団ヒステリー。「悪の枢軸」とは聞いてあきれる。桃太郎帝国の構図こそが、圧倒的多数の人々にとっての「悪の枢軸」ではないのか。桃太郎帝国がふるまうきび団子は、のどにつまりそうだ。くわばら。


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