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「第4回 ペンローズ三角形」への補足

補足1.ペンローズ三角形が非直角のトリックでは作れない理由

ペンローズ三角形の不可能図形(角につなぎ目の線が入っていないもの)は、非直角のトリックでは立体にはできません。このことは、次のように考えると理解できます。左の図に示すように、ペンローズ三角形にはA、B、Cの三つの面が描かれています。もしこれらが空間に配置された三枚の平面だったとしたら、延長すると1個の交点を持つはずです。この交点は、二枚ずつの平面の交線の上にあるでしょう。でも、図の赤の波線で示すように、三本の交線は1点では交わりません。これは、三枚の平面を空間にどのように配置しても、左の図のA、B、Cの三つの面の配置は作れないことを意味しています。

補足2.「ペンローズ三角形」を紙工作で作って見たい方へ


トリック工作BOOK (杉原厚吉著、主婦と生活社)
 立体の工作用展開図集です。不連続のトリックを使った「ペンローズ三角形」が含まれています。


まさかのへんな立体 (杉原厚吉著、誠文堂新光社)
 ペンローズ三角形に角材を1本追加した構造は、ペンローズ四角形と呼ばれています。このペンローズ四角形を、不連続のトリック、曲面のトリック、非直角のトリックの三つのトリックで作るための展開図が載っています。

エッシャー・マジック --- だまし絵の世界を数理で読み解く (杉原厚吉著、東大出版会)
 不可能図形を、不連続のトリック、曲面のトリック、非直角のトリックの三つのトリックで作るための数学的方法が解説してあります。実際に立体を作るためには、解説を理解した上で、プログラムを書いて計算させて展開図を作らなければなりませんが。

補足3.「ペンローズ三角形」を含む不可能図形の立体化についての参考文献

K. Sugihara: Three-dimentional realization of anomalous pictures---An application of picture interpretation theory to toy design. Pattern Recognition, vol. 30, no. 7 (1997), pp. 1061--1067.
K. Sugihara: A characterization of a class of anomalous solids. Interdisciplinary Information Sciences, vol. 11, no. 2 (2005), pp. 149--156.