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一神教関連の術語と『ルバイヤート』(四行詩集)

明治大学 法学部 プロゼミII(加藤徹担当)用教材 2007-12-04
天啓教(啓示宗教) revealed religion
預言者 prophet
救済 salvation
最後の審判 last judgment
神学 theology

有神論(人格神論) theism ←→ 無神論 atheism
理神論 deism
汎神論 pantheism
汎心論 panpsychism
唯物論 materialism
観念論(唯心論) idealism
 独我論 solipsism
 唯識 consciousness-only
不可知論 agnosticism

普遍論争 problem of universals
 実在論(実念論) realism ←→ 唯名論(名目論) nominalism

救済論 soteriology
予定説 predestination ←→ 因果律 causality
万人救済主義 universalism
普遍救済主義 general baptist

決定論 determinism ←→ 自由意志 free will
両立主義 compatibilism ←→ 非両立主義 incompatibilism

一神教 monotheism ←→ 多神教 polytheism
唯一神教 monotheism
一神崇拝(拝一神教) monolatry
単一神教(多神教的一神教) henotheism


オマル・ハイヤーム(Omar Khayyám 1048?〜1131?)作 小川亮作訳『ルバイヤート』岩波文庫1949年(1980年第25刷)より
【12】苦心して学徳をつみかさねた人たちは/「世の燈明」と仰がれて光りかがやきながら、/やみの夜にぼそぼそおとぎばなしをしたばかりで、/夜も明けやらぬに早や燃えつきてしまった。
【16】思いどおりになったら来はしなかった。 /思いどおりになるものならが行くものか? /この荒屋あばらやに来ず、行かず、住まずだったら、 /ああ、それこそどんなによかったろうか!
【26】あることはみんなそらの書に記されて、 /人の所業しわざを書き入れる筆もくたびれて、 /さだめは太初はじめからすっかりさだまっているのに、 /何になるかよ、悲しんだとてつとめたとて!
【30】土を型に入れてつくられた身なのだ、 /あらましの罪けがれは土から来たのだ。 /これ以上よくなれとて出来ない相談だ、 /自分をこんな風につくった主が悪いのだ。
【31】礼堂マスジッドのともしび、火殿ケネシトのけむりがなんだ。 /天国の報い、地獄の責めがなんだ。 /見よ、天の書を、創世の主は /あることはみんな初発はつの日に書いたんだ。
【44】知は酒盃しゅはいをほめたたえてやまず、 /愛は百度もそのひたいに口づける。 /だのに無情の陶器師すえしは自らの手で焼いた /たえなる器を再び地上に投げつける。
【46】この永遠の旅路を人はただ歩み去るばかり、 /帰って来てなぞをあかしてくれる人はない。 /気をつけてこのはたごやに忘れものをするな、 /出て行ったが最後二度と再び帰っては来れない。
【49】幾山川いくやまかわを越えて来たこの旅路たびじであった、 /どこの地平のはてまでもめぐりめぐった。 /だが、向うから誰一人来るのに会わず、 /道はただ行く道、帰る旅人を見なかった。
【50】われらは人形で人形使いは天さ。 /それは比喩ひゆではなくて現実なんだ。 /この席で一くさり演技わざをすませば、 /一つずつ無の手筥てばこに入れられるのさ。
【58】地の表にある一塊の土だっても、 /かつては輝く日のおも、星のひたいであったろう。 /そでの上のほこりを払うにも静かにしよう、 /それとても花の乙女おとめの変え姿よ。
【125】大空のきわみはどこにあるのか見えない。 /酒をのめ、そらのめぐりは心につらい。 /嘆くなよ、お前の番がめぐって来ても、 /星のもと誰にも一度はめぐるそのはい
【126】学問のことはすっかりあきらめ、 /ひたすらに愛する者の捲毛まきげにすがれ。 /日のめぐりがお前の血汐ちしおを流さぬまに /お前ははい葡萄ぶどうの血汐を流せ。
【135】あしたのことは誰にだってわからない、 /あしたのことを考えるのは憂鬱ゆううつなだけ。 /気がたしかならこの一瞬ひととき無駄むだにするな、 /二度とかえらぬ命、だがもうのこりは少ない。


[参考] 日本の「近代社格制度」(1871年〜1946年)
官国幣社(官社) 官幣大社  明治神宮、出雲大社、八坂神社ほか
国幣大社  熊野神社(島根県)ほか
官幣中社  熊野那智神社(和歌山県)、生田神社ほか
国幣中社  鶴岡八幡宮(鎌倉)、金刀比羅宮(香川県)ほか
官幣小社  大國魂神社(東京都府中市)、波上宮(那覇市)ほか
国幣小社  吉備津彦神社(岡山市)、須佐神社(島根県)ほか
別格官幣社 東照宮、靖国神社、湊川神社ほか
諸社(民社)府社・県社・藩社
郷社
村社
無格社
・皇室の祖先である天照大神をまつる伊勢神宮は、最も神聖とされ、位階や法律などの人為的規定をこえた超越的存在とされた。当然の帰結として、社格という格付けの対象外とされた。
・その他の神々は、朝廷などから正一位から正六位までの「位階」を授与されるのが常だった。例「正一位稲荷大明神」。
・正一位という最高の位階を授与された人間は、日本史上、数えるほどしかいない。正一位よりも上の地位にあるのは、天皇だけである。
・神々が正一位以下の神階(神位、とも)を天皇から授与される、ということは、現人神たる天皇のほうが他の神々より偉い、ということである。
・天皇よりも偉いのは、皇室の祖先でもある天照大神だけとされた。
・この意味で、国家神道は、天照大神を唯一至高とする「多神教的一神教」であった。
・ちなみに靖国神社の社格は、功臣をまつる「別格官幣社」であった。天皇の靖国「参拝」、という言いかたは、近代社格制度の見地からすると本当はおかしいことになる。

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