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修辞法

明治大学 法学部 教養基礎演習(加藤徹担当)用教材
2007.11.20 最新の更新07.11.27
【比喩的修辞】 直喩・明喩  隠喩・暗喩  諷喩・寓喩  提喩  換喩  擬人法・活喩  擬物法・結晶法  擬態語・擬声語・声喩
【強調的修辞】 誇張法  倒置法  感嘆法  設疑法  命令法  反言法  緩叙法  連鎖法  漸層法  反復法  列挙法  換置法  括進法  驚語法
【変化的修辞】 短叙法  対句法  対照法  現在法  過去法  省略法  問答法  頓呼法  引用法  挿入法  婉曲法・朧化法  側写法  不板法・反照法  網羅法  押韻(頭韻・脚韻)

【比喩的修辞】
直喩・明喩 初恋の味は、まるでカルピスのようだ。
隠喩・暗喩 A教授は古狸だ。
諷喩・寓喩 きみは、天才と紙一重(かみひとえ)だねえ。
提喩 大砲かバターか。ケータイか参考書か。
換喩 あの赤シャツが、また来たよ。
擬人法・活喩 大東京を睥睨(へいげい)する明治大学リバティタワー。
擬物法・結晶法 私は、時計の中の一個の歯車だ。
擬態語・声喩 チャラチャラするな。
擬声語・声喩 ペチャクチャしゃべるな。

【強調的修辞】
誇張法 朝飯ぬきで校門の前の歩道橋を登るのは、エベレスト登山のようにきつい。
倒置法 やっぱり入って良かったと思うよ、明治大学に。
感嘆法 おお明治大学! ああ、われらが大学!
設疑法 幼稚園のころから「明治」ひとすじだった。何のことかって? チョコレートさ。
命令法 立て! 立つんだ、ジョー!
反語法 こんな大学が、ほかにあるだろうか。
反言法 あんた、シアワセな人だね。
緩叙法 たかが漫画、されど漫画。
連鎖法 B子は変わった。変わった、というより、地金(じがね)を表したのかもしれない。
漸層法 B子は眉をしかめた。しだいに顔が赤らんだ。そして、みるみる般若(はんにゃ)のような形相(ぎょうそう)になった。
反復法 あそこのラーメンはおいしいよ。うちの実家の方言で言えば、バリウマ。英語なら、デリシャス。
列挙法 和泉の思い出がよみがえる。日あたりのよいガラス張りの教室。そよ風に葉をそよがせる木々。遠くに白雪をいただいた富士。
換置法 ぼくの母校は明大だ。つまり明治大学だ。名古屋大学の略称「名大」(めいだい)ではない。
括進法 亜細亜(アジア)、東洋、日本、東京。いずれも大学の名前としても使われる。
驚語法 健康のためなら、死んでもいい。

【変化的修辞】
短叙法 彼は明治大学に入った。友達ができた。恋をした。失恋した。立ち直った。また新たな恋をした。いろいろ経験を積んだ。ただ勉強だけはあまりしなかった。
対句法 犬は喜び庭かけまわり、猫はこたつで丸くなる。
対照法 おまえが東京のチャンピオンなら、わいは浪速(なにわ)の横綱やで。
現在法 縄文時代の杉並区善福寺公園のあたり。竪穴式住居が立ちならび、炊事の煙が空にたなびいている。
過去法 いまはつらくても、将来きっと良い思い出になる日が来るよ。あのころが一番幸せだったなあ、と。
省略法 「ひょっとして、きみがあの事件の・・・・・・」。B子は無言でうなずいた。
問答法 「きみのためなら何でもする」「じゃあ、近づかないで」
頓呼法 B子はとんでもない悪女だった。読者諸君! 魔性(ましょう)の女は、あなたのすぐ横にもいるのだよ。
引用法 私たち高齢者こそ健康維持に気をつけるべきだ。「浜までは海女(あま)も蓑(みの)着る時雨(しぐれ)かな」だよ。
挿入法 明治大学の法学部は、そもそも明大の前身は「明治法律学校」だったのだが、一応「筆頭学部」である。
婉曲法・朧化法 これからもずっと良い友だちでいましょうね。(恋人の関係になることを婉曲に拒否)
側写法 「大丈夫。全然平気だよ」。そう言うC男の目は瞬(まばた)きが止まらず、こめかみはピクピクふるえ、ほほは青ざめていた。
不板法・反照法 学問の本質は、己を知ることだ。自分とは何者か。自分はどこから来て、どこに行くのか。自分が生まれてきたことに、何か意味があるのか。
網羅法 俺が苦手とするタイプは、明大生、明大以外の学生、おかん、おかん以外の女全部、おとん、おとん以外の男全部、そして男か女かわからぬやつ、・・・ってとこかな。
頭韻 無くて七癖(ななくせ)。
脚韻 明治のイメージ。


論法  論旨に説得力をもたせるための論理展開の工夫。
三段論法(大前提)人は必ず死ぬ。(小前提)ソクラテスは人である。(結論)ゆえに、ソクラテスは必ず死ぬ。
擬似三段論法(大前提)鹿は四つ足である。(小前提)馬も四つ足である。(結論)ゆえに馬と鹿の走行能力は同等である。【あえて「大前提不周延の誤謬」を犯した詭弁 by 源義経】
弁証法(正)美男美女はちやほやされる。(反)不男や醜女にも人気者は多い。(合)人の美醜は、決定的な要素ではない。(措定→反措定→止揚)
高次論法A「旗が動いている」。B「いや、風が動いているのだ」。C「旗でも風でもない。お二人の心が動いているのだ」
半肯定論法この弁当は、たしかに見栄えはよい。しかし、愛情がこもっていない。(批判したければ、まず少し褒めよ)
半分以上肯定論法この弁当は、たしかに愛情はこもっている。しかし、見栄えはよくない。(批判したければ、まずフォローせよ)
半否定論法この弁当は、たしかに見栄えはよくない。しかし、愛情がこもっている。(褒めたければ、まず少し批判せよ)
半分以上否定論法この弁当は、たしかに愛情はこもっていない。しかし、見栄えはよい。(批判したあとに、フォローせよ)
掉尾論法確約はできませんが、最善を尽くします。←→最善を尽くしますが、確約はできません。cf.「朝三暮四」
反朧化論法「生きのいい魚だよ」「正確には、死んだばかりの魚、でしょ」
逆転論法「ぼくは着やせするタイプだ」「あなたの場合は、むしろ『脱ぎぶとり』でしょ」
根源論法××問題を解決する出発点は、まず「××」という発想を疑い、これを捨てるところから始まる。
卑近化東洋史のいわゆる冊封体制とは、要するに、ヤクザ社会の親分子分の関係と同じだ。
普遍化これは一見すると小さな問題だが、実は、人類の社会が長年かかえてきた大問題と、根底において連動している。それは・・・・・・
転嫁論法結局、この問題の根本的な原因は、日本の社会が腐っていることにある。
正論他人を非難しても、自分を正当化することにはならんぞ。
極論さよう、長期的に見れば、われわれはみな死んでいる。(第二次大戦前、将来の予測を記者団に聞かれたときのケインズの言葉)
暴論この世は私のためにある。
直観彼はきっと出世する。なぜなら、目の輝きが他の男とは違う。
類推犬は、逃げる者を見ると本能的に追いかける。私が逃げるふりをすれば、彼はきっと私に夢中になる。
帰納渋谷は若い人が多い。新宿も若い人であふれている。現代の繁華街の条件の一つは、若い人がどれほど来たがるか、ということだろう。
演繹人間は、自分に欠けているものに憧れる。自分の社会的地位にコンプレックスを懐く人間は、おそらくブランド志向が強い。

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