小説「倭の風」に対して
Eメイルで寄せられた感想(抜粋)

12月19日更新


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10月X日 N教授=筆者の同僚

映画化に向けて配役を

加藤さん
 いただいた「倭の風」読んでいます。紛れもなく、「本格的な歴史小説の登場!! 」ではないですか。すごい!!
 TV化、映画化に向けて配役を考えておく必要があるのではないでしょうか。トヨは何年か前の後藤久美子などが適役だったと思われますが、今なら誰がよいのでしょうか・・・。
 読み出すと面白くてやめられません。だから、残念ながら中間発表にはもっていけ ません。(加藤注*この日は卒業論文の中間発表の日でした)(下略)

**嘉**サルメは三浦綺音(みうら・あやね)、フトダマは青野武、ナヅミは西村晃、というところでしょうか。その他の主要登場人物については、ぼくもわかりません。

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10月X日 K女史=某大手新聞社勤務

彼はおかんむり

 家に帰っても続きが気になるので、食事しながらも本を開いたり、その後も固まって 読んでしまいました。旦那が「そんなに面白いの?」とか、今日会社で起きたことと か、何か話しかけていたようなんですが、無視してしまったようで彼はおかんむりでした。(中略)
 いろんな事件や、嘉藤さんならではの歴史の検証がちりばめられていました。うまくいえませんが、次はどうなるのかな、と、テレビの連続ドラマになりそうなテンポの良さ、それから豊かな表現にも魅せられました。(下略)

**嘉** ご家庭の平和を乱してすみません。

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10月X日 ふたたび前出のN教授=筆者の同僚

おめでとうございます

 おめでとうございます。何が?
 大量の銅鐸発見→古代史ブーム再燃→「倭の風」に注目集まる→「倭の風」大増刷 →歴史小説界の大型新人嘉藤徹氏○○文学賞受賞、という展開が目に浮かぶではあり ませんか。もう一度、おめでとうございます。

 謎の小説家嘉藤徹氏が銅鐸を埋めておいたのではないかとさえ思っている、***  でした。

**嘉** 売れない小説家が、自作を売る話題作りのため、タイムマシンで過去の出雲に渡り、ひそかに銅鐸を埋める。そんなSFを書いたら、・・・売れないでしょうねえ、たぶん。

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10月x日 H女史=某大学四年生

私はきっぷのいい船長のイサナが好きです

 はじめまして。突然、メールを差し上げて申し訳ありません。
  私は、理学部4年の**と申します。
 先生の書かれた「倭の風」を読みました。
情景描写の凄さにも圧倒されましたが、大和言葉の由来などについて、 いろいろ言及してあったり と、興味深かったです。
ところで、後日談としての、司馬親子たちが、あの後どうなったかと いうことは、もう書かれないのでしょうか?私としては、あの仮病を 装って、政権交代をもくろんでいた司馬親子がどうなったのかが 気になるのですが。
登場人物たちは、どの人も好きですけれど、私はきっぷのいい 船長のイサナが好きです。彼を殺さないで下さったことに 感謝致します。次の話はいつ頃でる予定なのでしょうか?楽しみに しておきます。
外国語の授業で中国語を習ったのはかれこれ、3年も前の話になります。 残念ながら先生のクラスの生徒ではありませんでしたが。
現在、私の妹が先生の中国語の授業を受けていて、お噂はかねがね 伺っております。
中国の楽器の演奏もなさると伺いました。どうりで小説の中にも たくさんの楽器がでてきていました。今度聴かせていただけませんか?  (下略)

**嘉** 史実では、司馬家の親子はクーデターに成功し、事実上、魏王朝を乗っ取ってしまいます。それにしても、イサナがお好きとは。男を見る目が、ただものではありませんね。

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11月x日 K女史=某大学二年生

阮籍(げん・せき)さんの活躍を期待したのですが

 こんにちは。
 ホームページも益々充実、ですね。
 「倭の風」の感想 (このコーナーのこと---加藤)を楽しく読みました。
私は阮籍さんの活躍を期待したのですが、白目を剥いて、トヨを助けただけで消えてしまわれて残念でした。後日談を書かれる際にはぜひ登場させて頂きたいです。
 ちなみに、一番のお気にいりは黒目さんです。(下略)

**嘉** 本当は、ぼくとしても彼にもっと活躍してほしかったのですが、「竹林の七賢」なんて知っているのは、よほどの中国文学通に限られますし、なんといっても、紙数の都合上で、物語をあそこで終わらせねばならなかったので。全国の阮籍ファンのかた、ごめんなさい。
もし将来、続編(倭の使節団が、当時の東アジア世界を旅して中国に至るという、いわば「沈黙の艦隊」の3世紀版)を書く機会があれば、彼にも大活躍してもらいましょう。

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11月x日 K教授=K大学、中国文学研究者

金庸(きん・よう)の作品に似ている

(前略) 嘉藤徹氏処女作「倭の風」早速拝見、面白く読ませてもらいました。どうぞ貴兄よりくれぐれも宜しくお礼申し上げておいてください。
この夏、人に頼まれて金庸の解説を書きましたが、東アジアの国際関係を扱っている点、恋愛を主軸とする点、そして特に最後の洞窟の趣向など、気のせいか金庸の作品に似ているように思いました。いっそ貴兄が中訳して、あちらで発表しては如何でしょうか。(下略)

**嘉** 中国語圏を代表する「武侠小説」の大家と比較してくださって、面映ゆいばかりです。最近、徳間書店から金庸の小説の翻訳が出たので、彼の名は日本でも知られるようになるでしょう。

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11月x日 O野Y子さん 某国立大学教育学部大学院生(M1)

漫画を読んでいるようでした

 「倭の風」読ませて頂きました。  毎晩寝る前に一章ずつ読もうと思ったんですけど・・・ もう一章、もう一章、と結局読み切ってしまいました。本当にその様子が目に浮かぶような臨場感溢れる描写、そして登場人物のキャラクターがしっかり固まっているので、まるで映画を見たり、漫画を読んでいるようでした。先生が劇をしておられた(しておられる?)というのがよく分かります。さらにそれが歴史的な事実に基づいて書かれているので、もう最高!!!   久しぶりに楽しい小説が読めて本当に幸せです。ありがとうございました。

**嘉** そうです。この小説は「漫画化」してもらった方が、良いのです。少年漫画なら原哲夫(「北斗の拳」の作者)、少女漫画なら山岸涼子さん、アニメなら宮崎駿あたりの大家が、目をつけてくれないかなあ。

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12月x日 S.M江さん 某大学教員

杜甫の「月夜」を連想させる

 加藤さん、お久しぶりです。
ご著書、先週には読み終わっていたのですが、野暮用が多くて、結局、感想をお便 りするのは、こんなに遅くなってしまいました。
 読み始めたときには、難しく感じたのに、読み進んでいくうちに、すっかり物語 に引き込まれてしまいました。これは冒険物だったんですねえ。手製の爆破やら、 バンジージャンプやら、堪能致しました。登場人物では、とくに船長のイサナが好きです。すごくいいやつで、親しみが湧きます。女性では、ヒロインのトヨはもち ろん素晴らしいのですが、いささかできすぎで、ちょっと近づきがたいなあ。まあ 、そういうふうに作ったのでしょうけれど。サルメはいい。お友達になりたい。最 も人間味あふれています。偽善や邪悪は微塵もない純粋な人ですね。
 ディテールでは、杜甫の「月夜」を連想させるくだりがよかった。それにしてもいろいろな知識がてんこもりで、随分、勉強になりました。加藤さんは普段、どの ような本をお読みなのかしら、とふと思ってしまいました。守備範囲が広いんでし ょうね。それから、これはもうお気づきでしょうけれど、どこだったかしら、「土 地勘」の「勘」の字が誤植だったみたいです。これは蛇足。
 なんだか、お粗末な感想を申し述べました。とにかく、これからもお書きになっ たらどうかしら。中国文学関係で作家も兼ねる方って、高橋和巳以来、いらっしゃ らないから、そろそろ出てきてもいいころではあります。(下略)

**嘉**私としましては、高橋和巳より、駒田信二の路線をめざしたいですねえ。

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12月x日 尾上和彦氏 作曲家(日本作曲家協会会員)

大きな勇気を得ました

 はじめまして。「倭の風」読ませていただきました。
 あのどろどろした歴史を、つつみかくされて来た歴史を、四人の青年に託し、さわやかに、全ての人を愛の目で描いた素敵な作品に出逢えたことに感謝を申し上げます。
 小生は「仏陀」をオペラで描くことをつづけ、人の不可思議を問い続けてきました。
 この「倭の風」を拝読して、人間が人間に問いかけることの大切さを又あらたにさせて頂きました。真にありがとうございます。
 いつの日か奈良の地で古代宗教が今に問いかけるものを書きたいと考えております。演ずる場所は、箸墓の見える丘か、都祁の村の古墳の上で。
 大きな勇気を得ました。次作楽しみにしております。

**嘉**私のほうこそ、ありがとうございます。
 この手紙は、実はEメイルではなく、肉筆で郵送されてきました。ご当人の承諾を得て、ここに転記させて頂きます。

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