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paintings 絵画

Last updated 2019-5-30 Since 2019-5-30

絵画は「空間芸術(=モノの芸術)」であり「二次元芸術」である。
ただし、画家が絵画作品の作成プロセスそのものを芸術的パフォーマンス(時間芸術、再生芸術)として披露することもある。また「二次元芸術」の枠組みを破るさまざまな遊びや試みも、古来行われてきた。
cf.掛物の本紙のまわりの表装の部分を本紙と一体として絵で描く「描表具(かきひょうぐ)」「絵表具(えひょうぐ)」の技法と、それを応用した幽霊画。掛け軸から幽霊が抜け出るように描く。[google画像検索「描表具 幽霊」検索結果]

 日本の伝統的な絵画は、唐絵、大和絵、水墨画、文人画、浮世絵などジャンルが多い。近代以降は西洋画も定着した。

★絵巻 emaki
 横長の巻物に絵を描いて、説明文を加え、右から左へと巻物を広げながら鑑賞する形式の絵画作品。このような画巻形式の起源は中国にあり、奈良時代以降、この手の仏教経典や文学作品などが中国からもたらされ、日本でも作られるようになった。

★鳥獣人物戯画 Chōjū-jinbutsu-giga
 「鳥獣戯画」。京都の高山寺に伝わる国宝の絵巻物。作者は鳥羽僧正(とばそうじょう)こと覚猷(かくゆう。1053-1140)とされるが、よくわからない。ウサギ・カエル・サルが擬人化されて描かれた甲巻が特に有名。「声」を煙のような描線で描くなど後世の漫画の「吹き出し」を思わさせる技法や、スピーディーな動きを「流線」で表すなど、世界最古の漫画とも言われる技法が随所に見られる。NHKの番組「日曜美術館」1982年11月21日放送「私と鳥獣戯画 手塚治虫」は神回とされる。

★屏風絵 Byōbu-e; painting on folding screen
 古くは正倉院に伝わる「鳥毛立女屏風」(とりげりゅうじょのびょうぶ/とりげりつじょのびょうぶ/とりげたちおんなびょうぶ)が有名。
 日本の縦書きの文章や、絵巻物、現代の日本の漫画と同様、上から下、向かって右から向かって左へ、と見るのが原則。
 重要文化財の『大坂夏の陣図屏風』通称「戦国のゲルニカは、人物5071人、馬348頭を描き込んだ大作として有名。参考図書:渡辺武『戦国のゲルニカ ――「大坂夏の陣図屏風」読み解き』新日本出版社、2015年

★東アジアの伝統的絵画のコンセプト
→京劇や歌舞伎など演劇芸術とも共通する。
 写実よりも「写意」。
 美は普遍的であるはずなので、個性は醜い。
 余白や「間」を重視する。<西洋人は「中心」を見るが東洋人は「周辺」を見る< リチャード・E・ニスベット著、村本由紀子・訳『木を見る西洋人 森を見る東洋人』

★春画、枕絵…
 江戸時代でも「血とセックス」すなわち春画と戦争画は、輸出品・輸入品として人気があった。東インド会社のジョン・セーリス(John Saris, 1579年?1580年? - 1643年)についてのこちらの記事を参照。

 

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