殷 周・秦漢 −3世紀 | 六朝・隋唐 3世紀−10世紀 | 宋元・明清 10世紀−20世紀初頭 | 20世紀 | |
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A説 | 古代(上古) | 中世(中古) | 近世 | (最近世) |
B説 | 古代 | 中世 | 近代 |
なんきん【南京】(「きん」は「京」の唐宋音) [1][一] 中国、江蘇省の省都。揚子江下流の曲流点の江浙デルタの頂点に位置する。水陸交通の中心地で、名産の南京繻子などのほか重化学工業も発達している。 戦国時代の楚の金陵にあたり、三国の呉および南朝諸王朝では都の建康の地にあたる。明の永楽帝の時北京に対して称した。近世、このあたりの地一帯、ひいては中国のことをもいった。引用終了。中国の都市名のうち、長安や洛陽はふつうの音読みなのに、北京・上海・南京・香港・青島など一部の都市名は唐宋音で読むことに注意。 ○略史
※浮世草子・日本永代蔵(1688)五「こまかに心を付てみしに、是も南京(ナンキン)より渡せし菓子」
唐の時代の凋落した南京を詠んだ漢詩
烏衣巷 劉禹錫(772―842) 朱雀橋辺野草花。烏衣巷口夕陽斜。旧時王謝堂前燕、飛入尋常百姓家。 朱雀橋辺、野草の花。烏衣巷口、夕陽斜めなり。旧時の王謝、堂前の燕、飛びて入る、尋常百姓の家に。 朱雀橋のあたりの野草の花。 南京の烏衣巷の出入口に、傾く夕日がさしている。 その昔、六朝時代の名門貴族である王氏や謝氏の豪邸の前に巣をかけていたツバメが、 今は、ふつうの庶民の家の軒先に飛びこんでゆく。 金陵図 韋荘(836−910) 江雨霏霏江草斉。六朝如夢鳥空啼。無情最是台城柳、依旧煙籠十里堤。 江雨(こうう)霏霏(ひひ)として江草(こうそう)斉(ひと)し。六朝(りくちょう)夢の如く、鳥空しく啼(な)く。無情は最も是れ台城(だいじょう)の柳、 旧に依りて煙は籠(こ)む、十里の堤(つつみ)。 南京のあたり、長江では細かい雨がしずかに降り 川岸の草がびっしりと続く。 六朝時代の栄耀栄華は夢のように去った。今は鳥がむなしくさえずるばかり。 最も無情を感じさせるのは、いにしえの建康宮の跡地のヤナギだ。昔のまま、十里にわたる堤防が煙雨のなかにかすんでいる。 |