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コンサーティーナ入門 FAQ

最初の公開2011-10-23 最新の更新2017/8/14

【問】コンサーティーナは、アコーディオンやバンドネオンとは違う楽器なんですか?
【答】全く違います(^^;;
 ウクレレはギターではありません。ビオラはバイオリンではありません。
 同様に、コンサーティーナは、アコーディオンやバンドネオンとは違う楽器です。
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 向かって左の小さな六角形の楽器は、コンサーティーナです。
 右側の大きな四角形の楽器は、バンドネオンです。
 サイズも、ボタン鍵盤の並べかたも、音域も、弾きかたも、それぞれ全然違います。
 鍵盤ハーモニカをオルガンとは呼ばないのと同様、コンサーティーナのこともアコーディオンとかバンドネオンと呼ぶと間違いになります。
 どうぞご注意くださいますよう。

 もっとも、日本ではコンサーティーナの知名度が低いため、メーカーが作る玩具などでは、確信犯的にコンサーティーナのことを「アコーディオン」と呼んでしまうこともあります。これは、残念なことです。

 実は、コンサーティーナの故郷である西欧でも、19世紀中頃までは、コンサーティーナ、アコーディオン、バンドネオンの区別は曖昧でした。
 ジャーマン・コンサーティーナを1834年に発明したドイツのウーリッヒは、自分が作った1列10ボタン鍵盤の楽器を広告のなかで「新しいタイプのアコーディオン」と呼びました(Dan Michael Worrall著The Anglo-German Concertina: A Social History p.6には“an advertisement in the Chemnitzer Anzieger of July 19, 1834.”とありますが、正しくはChemnitzer Anzeigerと思われます)。

 「コンサーティーナ」という呼称は、ウーリッヒの楽器を差別化して売るために当時のイギリスの楽器商が考え出したものと推定されていますが、詳しいことはわかりません。
 1829年にイングリッシュ・コンサーティーナを発明したイギリス人のチャールズ・ホイートストンも、自分が作った楽器を「シンフォニウム」と呼んでいました。ホイートストン自身が特許申請書の中で自分の楽器を「コンサーティーナ」と呼ぶのは、1844年になってからです(Improvements in the Action of the Concertina, &c. by Vibrating Springs,英国での認定は1844年8月7日,特許No.10041)。
 初期の蛇腹楽器の名称が、「アコーディオン」(和音の器)とか「シンフォニウム」(交響曲+元素を示す接尾語)、「コンサーティーナ」(演奏会+女性的な指小辞)など、ホモフォニック音楽(主旋律と、和音伴奏をミックスした近代的な音楽)を志向する名前であることは、19世紀の産業革命期の社会文化との関連性が感じられます。
 バンドネオンを1847年ごろ発明したドイツ人のハインリヒ・バンドも、自分が作った楽器を当初「アコーディオン」と呼びました。「バンドネオン」は広義のコンサーティーナ族の一種なので、昔は「タンゴ・コンサーティーナ」と呼ばれたこともありました。

 しかし20世紀に入ると、アコーディオン、コンサーティーナ、バンドネオンは互いに別の楽器として明確に認識されるようになり、今日に至っています。

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