「心の科学の基礎論」研究会

2009年の活動履歴


第59回研究会

日時:2009/11/14(土) 2:30〜5:30

場所:明治大学 駿河台キャンパス 研究棟4階第2会議室
 http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
 の「キャンパス案内」をご参照ください。

[話題提供者] 岡田美智男 (豊橋技術科学大学/社会的ロボティクス・認知科学)

[タイトル] 社会的ロボティクスとコミュニケーション研究の接点を探る

[要旨] 「コミュニケーション研究にロボットが使えないだろうか」との漠然とした思いから、ここ数年、小さなロボットたちと格闘してきた。Talking Eye、「む〜(Muu)」、弱さをチカラとする「ごみ箱型ロボット」、目玉ジャクシの原初的サッカー、「コンコン」インタフェース、トウフのようなロボット、Table Talk Plus (http://www.icd.tutkie.tut.ac.jp/project.html )。これらのロボットやクリーチャたちを題材に、社会的ロボティクスとコミュニケーション研究との接点について議論してみたい。

指定討論:
荒川直哉(本会世話人)「ロボットの現象学」
水本正晴(本会世話人)「「心の部屋実験」、ロボット、身体イメージ」


第58回研究会

日時:2009/7/25(土) 1:30〜5:45

場所:明治大学 駿河台キャンパス ★14号館6階A会議室
(★注意)会場がいつもとは異なる建物です。
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/campus.html
JR駅から坂を下ってきた場合、リバティタワーの手前を右に坂を上り、
山の上ホテルに沿って坂を下り、正面に見える10号館を右に少し坂を
上ったところに、渡り廊下がある。それを渡ると14号館!!

(話題提供1) 荒川 直哉(本会世話人)

【タイトル】自由意志の問題を「ふりかえる」
【要旨】自由意志の問題について、歴史的な概観とともに討論を行います。この問題は、自由意志を認める論者と決定論者、自由意志論と決定論を両立させようとする両立論者の間で古来より議論が続いてきました。具体的にとりあげるトピックとして、Libetの実験、デネットの両立論、行為と責任に関する議論を挙げておきます。

(話題提供2) 内藤 淳(一橋大学国際共同研究センター/倫理学)

【タイトル】進化倫理学の現代的展開
【要旨】進化生物学において人間を含めた生物の性質や行動の分析が進む中で、人間の「道徳」や「道徳性」がいかに説明できるかは、進化理論が登場して以来の論争の的である。こうした議論は、当初、「進化」現象についての事実的議論と道徳的・規範的議論の区別があいまいなまま論じられたため、「誤ったアプローチ」として厳しく批判された。しかし、20世紀の後半になり、進化生物学の基本理論が改めて整理され、それに基づく人間行動や心理の分析が進むと、そうした「心理学」的成果をメタ倫理学に活用する形で「進化倫理学」が展開する。
 現在のところ、そこでの議論は乱立的で整理不十分な状況だが、おおまかな潮流としては、人間が「本性」として備えた「道徳感覚」を基盤に道徳・倫理を説明する説とそうでない説と、2つの方向性が指摘できる。こうした区分に即して、現代進化倫理学の特徴を示しつつ、その可能性と問題点を探る。


第57回研究会

第57回研究会は人文死生学研究会(第7回)との合同研究会になります。

日時:2009/3/30(月) 1:30〜5:45
場所:明治大学 駿河台キャンパス 研究棟4階 第1会議室

(趣旨) かって死はタブーでしたが、近年は死生学の研究も盛んになっており、その多くは臨床死生学です。しかし、自分自身の死についての洞察が臨床死生学の基礎には必要と思われます。人文死生学研究会は、そうした一人称の死に焦点を当て、哲学、倫理学、宗教学、心理学、人類学、精神医学から宇宙論にまで及ぶ、学際的な思索と研究の場として発足しました。
 今回で7回目になりますが、これまでに「刹那滅」「輪廻転生」「死の非在論証」「人間原理」などがテーマとして取り上げられています。今回は、渡辺恒夫氏による心理学からの話題提供を第一部とし、後半は、哲学者の三浦俊彦氏の「戦争論理学」の合評会を著者をまじえて予定しています。

  
(内容1) 心理学からの話題提供 渡辺恒夫(東邦大学、心理学)
 「自我体験・独我論的体験から考察したアスペルガー障害者のテクスト」    1時30分から
  
 自閉症スペクトラムの中のアスペルガー症候群と見られる人々の、自伝・手記類が最近次々と出版されているがそれらのテクストを、独我論的体験という観点から考察したい。独我論的哲学者ヴィトゲンシュタインの学説をアスペルガー症候群を手がかりとして解明する試みはあるが、本発表での試みは、アスペルガー症候群の体験世界を、「定型発達」と思われる人々から提供された事例によって構築された自明性の破れの構造内部に位置づけることである。Medicalisation(医療化)とは逆向きの企てである。今後、このような試みが発展することを期待したい。なお、本発表は、近日中に出版される「自我体験と独我論的体験 : 自明性の彼方へ」(北大路書房)の一節に基づいている。
 
(内容2) 合評会
 『戦争論理学 あの原爆投下を考える62問』(三浦俊彦、二見書房、2008年) 2時45分ごろから
      話題提供(書評) 佐藤壮広(東邦大学、宗教人類学)
      話題提供(書評) 重久俊夫(西洋史、哲学)
      指定討論 三浦俊彦(和洋女子大・哲学、論理学)
      討論

 人文死生学研究会のテーマに関連する討論については、以下のHPで読むことができます。
 http://homepage1.nifty.com/t-watanabe/academic_meeting_4.htm


管理者:明治大学情報コミュニケーション学部 石川幹人