研究期間:2017年度から2020年度
2009年5月に裁判員法が施行され、裁判員裁判はしろうとである国民が、刑事裁判に直接裁判員として関わるという点で刑事裁判の構造自体を変革したものであった。それゆえ、裁判員裁判がどのように人々に受け容れられて行くかという過程を長期に亘って探究することは、法律実務家、法政策担当者のみならず社会科学者にとって重要な関心事である。
この研究プロジェクトでは、2019年に実施予定の質問票調査を通じて次の2つの課題を達成する。(1)我々が2008年と2011年に行った、裁判員裁判と刑事司法に対する人々の態度調査の後継調査を行い、裁判員制度が発足してから10年を経ての、人々の態度変化のダイナミズムを明らかにする。さらに(2)刑法の大原則である「責任主義」に対応する、しろうとが持っている認知と説明の体系、すなわち「法の素朴理論」を明らかにする。このプロジェクトは刑事手続(裁判員裁判)と刑事実体法を法社会学・法心理学の観点から捉え直すことにより、裁判員裁判の動態についての知見を得るとともに、法律専門家と一般の人々の協同の質を高めることに貢献するであろう。
なお、我々の先行研究の成果は、研究成果公開促進費の助成を得て、松村良之・木下麻奈子・太田勝造(編著)『日本人から見た裁判員制度』(勁草書房2015年)として刊行されている。
研究代表者 | 松村良之(明治大学) |
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研究協力者 | 木下麻奈子(同志社大学) |
白取祐司(神奈川大学) | |
村山眞維(明治大学) | |
太田勝造(明治大学) | |
今井猛嘉(法政大学) | |
綿村英一郎(大阪大学) | |
長谷川晃(北海道大学) | |
佐伯昌彦(千葉大学) | |
林美春(千葉大学) |
2020年に行った調査結果の概要は、こちらをご覧ください。