明治大学志願者日本一、2010年の春
― OB・OGの皆さんへ ―


 この春、明治大学にとって一番の話題は、志願者日本一のニュースでした。テレビ、新聞、インターネット上、等々、いろんなメディアを通じて取り上げられて来ましたから、OB・OGの皆さんも既にご存じのことと思います。少々、無理かも知れませんが、「チャンスの年には違いない」といった話はしていました。が、それが現実のものになるとは、正直なところ大変驚きました。恐らく、明治大学関係者、予備校、マスコミ、その他、大学受験に多少とも興味を持っている人々にとって、この結果には意外の感を強くしたのではないでしょうか。確かに事前の幾つかのアンケートが示すところは、明治大学志願者がトップになっていたことは事実です。しかし、実際の受験になれば前年度の志願者数の差、募集定員数などのことから、まず,無理であろうというのが大方の判断ではなかったかと思います。しかし、結果は2位との差185名と明治大学志願者数115,700名からして、驚くべき僅差ではありますが、まさしく日本一に輝いたのです。そして、その結果の一つでしょうか、NHKは、大学入学式のニュースで明治大学を冒頭に取り上げていました。ご覧になった方も多いと思います。

 この結果については、いろいろな分析がなされています。面白いことですが、まず、「不況原因説」が一番うがった説明のように受け取られたようです。節約のために記念受験が減った、現役志向、合格可能性の高い大学に向かった、入試改革、就職指導、奨学金制度の充実、等々といった分析がその中心です。確かにこうした理由が大きく原因していることは間違いないとしても、この数年の明治大学の変化を知る者からすれば、物足りない分析という気がします。実はこのところ、進学指導関係者、予備校、各種メディア、新卒採用に当たる企業関係者などの間で、明治大学を見る目が変わりつつあるようなのです。そして、大学関係者の間でも、明治大学の大学としての変化に注目し始めているということ、このことがあるのです。

 「21世紀は、明治大学の世紀」、これは明治大学生田ゼミナール発足,当初からのスローガンです。明治大学がどのような大学であり、なぜ、このような主張が出来るのかは、折にふれ色々な機会に話をしてまいりました。明治大学というのは、研究すればする程、そのことが一層強く感じられるということも話してまいりました。そのことは、強まりこそすれ変わることのない私の思いです。明治大学が日本という国、国土の変化に強く連動して歴史を刻んできたということは、度々触れてきたところです。そして、「人の明治」と人口に膾炙される如く、正に明治大学は日本の社会に長く住まう人々の姿、特徴を最もよく表わしている大学そのものと言ってよく、その意味で明治大学の発展は日本の明るい未来を予見させるもの、そう感じられるのです。

 日本社会では、人生の巡りに擬えて60年を一つの期とする還暦という数え方が古くから使われています。21世紀の始まり2001年、明治大学は3度目の還暦期に入りました。ホップ、ステップ、そしてジャンプの第3還暦期です。ここでもまた、日本社会との連動性を感じさせられます。第3還暦期が始まって10年、新たな発展の時代に向けて大きく舵を切り始めた明治大学、来年は130周年の記念の年に当たります。それを祝い、かつ激励するかのように、志願者日本一という金メダルが与えられました。
 明治大学は、幸運の大学です。そのことは、大学の歴史を辿れば直ぐ判ることです。それ程の大学、第1、第2還暦期になし得なかったこと、グローバルな時代に大きく人類の発展に寄与、努力すること、正にそのことに明治大学の未来はかかっています。幸運を逆運にすることがあってはなりません。真摯、誠実に努力すること、これ以外にはありません。

 つい先頃発行された、ある雑誌に「なぜいま人気を集めるのか「明治大学」大研究」という特集が掲載されていました。不況原因説より一歩踏み込んだ分析をしています。その末尾に一言、「明治大学は、今、黄金時代を迎えつつあるのかも知れない。」とありました。いささか早計、誇張された評言ですが、努力の先に現れ来る明治大学、21世紀の姿がそこにあることは間違いありません。明治大学は、動き始めているのです。
 明治大学生田ゼミナールOB・OGの皆さんのご活躍をお祈りしています。
                  
                       平成22年(2010年)5月4日(火) 
                  明治大学生田ゼミナールOB・OG会 生 田 保 夫

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