ハイアールの「人本主義」企業文化
熊承筝
ハイアール集団は、いまや中国最大であるばかりでなく、世界の十大家電メーカーにも数えられる総合家電メーカーである。アメリカをはじめ、世界十数カ国に国際展開しつつ、白物家電からパソコン、PDAなどのIT関連製品までを含めた多様な製品群を、世界160カ国・地域向けに販売している。その急成長ぶりは、いまや世界が注目するところであり、ハーバードをはじめ、世界の著名なビジネススクールの研究教材でもすでに取り上げられている。
ハイアールの成功が中国で起こした、いまひとつの革命的転換がある。製品品質への責任をとると言う事と並び、企業の労務管理に徹底的な競争原理と、成果主義を持ち込んだことだ。かつて国有企業などでいわれた「鉄飯碗」(壊れないお碗=国家に保証された平等主義的雇用制度)の在りようを一掃し、能力主義と機会均等の競争原理を大胆に導入した。
たとえばハイアールでは、一般労働者として採用された者でも、改善アイデアの提出や具体的業績などに応じ、管理者コースに移行することができる。すくなくとも、制度上では、農民出身でも企業リーダーになり得るようになっている。これも、実は中国の企業管理制度としては、かなり革新的なことだった。
これこそハイアールの求人理念:@全部の人は人材になり得る。
Aどれぐらい大きいか発展空間があり、貴方の為に相応的なステージを設立する。
優しい面があっても厳しい面もある。毎月それぞれの部で、社員が部長に点数をつける。その点数でABCにランク分けされて、Cランクが2、3ヶ月続くとクビになってしまう。ハイアール大躍進の秘訣は、こういった厳しすぎる程の企業理念にも隠れているのかもしれない。
社員を優待、重視する一方で、かなり厳しい会社規則で縛られている。頑張る人は昇進するチャンスがあるが、昇進したあとまったく頑張らなくてもいいという意味ではない。仕事の成績は悪かったらいつでも落ちる可能性がある。もし、海尓の工場に行ったら次のようなシーンが見られる。タクシーで工場通う一般社員もいる。なぜタクシーを呼んで工場に行くかというと、決して金持ちではなくて自分の遅れで仕事の流れが変わってしまって、全般の仕事は遅れる事になるという事である。海尓の平社員は会社に対する責任感を会社規則のもとで教え込まれた。
「人本」この造語は海尓企業文化を作る中心である。かつて企業にとって重要だった資本管理は“資本管理+人本管理”に進化しつつである。人本企業であることの最大の特徴は企業自体こそ有効な勉強ができることである。この勉強の目的は企業内部構造を変えて、周りの環境に適応する為である。人本管理は会社に「新しい価値がある物を作るメカニズム」を与えた。どんな形の経済活動においても、人間は決定的な役割を果たしている。
それでは、海尓の人本企業の特徴は以下の3点である。
1.
社員を信用する上で個人の想像力と能動性を呼び起こす
2.
企業の有効な勉強を推進し、自己更新する能力を持たせる。
3.
会社の目標と長期的に追求すべき人類理想と結びつけて、社員たちに共同の目標と価値がある目標を実現する事を励ます。
こんなに社員を大事にしている会社で、社員は頑張って仕事をしない訳がないでしょう。日本の松下もこの様なやり方で人材を育ってきて、成功な路に導いたでしょう。
19,20世紀の頃、西洋の考えでは労働者は単純な安い労働力として扱われていたが、基本的な事として、資本家の言う通りやればいいと言う事。しかし、21世紀の人材管理としてそういう理論はもう通用しないだろう。部下の感情、人格を尊重する上で行う人材育成は現代大手企業のやり方だろう。
企業は一人一人の社員で作り上げた物である。彼らの知恵を集めて創造した物の価値は何物にも代え難い無上の宝である。優秀な企業かどうかをバランスシートの数値だけで判断する事もう十分ではない、企業文化の形成は企業長く生き延びるの原因となっている。ハイアールの管理者たちは現代経営管理の精粋をよく理解し、人本主義の企業文化を創るとともに、その企業文化を良好な経営活動と高い経営業績に結びつく。人を重視する企業文化はハイアールの最も重要な企業文化と言えるだろう。