Object Detection Using Background Subtraction and Foreground Motion Estimation

[概要]

本論文では,背景差分(推定もしくは事前に撮影した背景画像と異なる領域を物体であると判断する物体認識手法)を利用して性能面と処理速度の面から優れた移動物体検出手法を提案する.多くの背景差分を用いた移動物体検出手法では,木の葉の揺れや明度変化,カメラの揺れなどの動的な背景に対応できないという欠点がある.また,物体と背景に類似色が含まれている場合に,精度が著しく悪化するという問題がある.提案手法では,これらの問題を解決することを目的とした.手法に関する工夫点は,1) 複数枚の背景画像と最近傍法を用いて少ない計算量で背景差分処理を実行し動的な背景に対応する,2) 対象物体の動き情報を取り入れることで物体と背景が類似色の場合に対応する,ことである.最終的には,それらの工夫をマルコフ確率場(MRF)に基づく目的関数に取り込み,その大域的最適解をグラフカットと呼ばれるアルゴリズムにより求める.評価実験により,従来法を上回る性能を示し提案手法の有効性を示すことができた.また,提案手法は多くの場合に毎秒30フレーム以上の処理速度を示し,リアルタイムに動作することを示すことができた.