星間分子の分光学的研究
- 宇宙にはどんな分子が存在するのだろう?
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- 夜空に瞬く星はなんともロマンティックで神秘的です.しかし,それらの星々の間の漆黒の闇に見える空間ー星間空間ーにも
実は多くの分子が存在し,分子雲を形成していることが知られています.このような分子雲から,やがては星が形成されていきます.星間分子の存在は,地上に設置された巨大なパラボラアンテナや人工衛星
に搭載した望遠鏡を使って,目に見えない電波やテラヘルツ波,赤外線の観測により明らかにされました.予め実験室で色々な分子のスペクトルを測定しておき,それを宇宙の観測により得られたスペクトル
と比較すれば,何万光年も離れた星間空間にどんな分子が存在するか,そして,分子雲の速度,温度,密度などを知ることができます.星間分子には,CH3OH,C2H5CN,HCOOCH3,
CH3OCH3など,CH3基を含んだ分子がたくさんあります.このCH3基は,分子の中で内部回転と呼ばれる回転運動を行なっています.内部回転を含む分子のスペクトル
を解析することは難しく,最新の理論をもってしても実験で測定されたスペクトルのごく一部しか正しく理解することができません.地上の実験室における地道な測定や解析という分光学的研究の先は,
宇宙の理解へとつながっています.