占い・予言・予知


■占い師は未来を予言したり、その他人生相談を行ったりする

ケチュアのクランデロ、デメトリオさん。病気も治すが占いも行う。布の上に撒いたコカの葉の布置(コンステレーション Konstellation, constellation)によって占う。(映像   )。(アンデスの高地に住むケチュアの社会では、落雷によってクランデロになるという文化がある。中国の仙道にも「雷法」という、進んで雷に打たれる行法がある。電気的なショックが潜在的な特異能力を目覚めさせるのかもしれない。)

<占いの結果>
・あなたはいま交際中の女性と結婚し、来年には子どもが生まれる (はずれ。前提自体が間違っている)
・あなたの経営している会社はうまく行く (はずれ。前提自体が間違っている)
・あなたの父親は長生きする (父の年齢は72歳で健在。はずれてはいないが、現状ではまだとくに長生きとはいえない)

■占いでは、しばしば誰にでも当てはまりそうなことを言ったり、相手の様子を見て当たりそうなことを言ったりして、当たったように感じさせ、話術に引き込むということが行われる(バーナム効果 Barnum effect 、コールドリーディング cold reading)。

■未来に対する予言的な占いは一般にあまり当たらない。よく当たると言われる占い師でも、たまに部分的に当たったかなと思うぐらいである。しかし、気味が悪いほどには当たらなかったり、明らかに外れるようなことを言われるほうが、逆に不正行為やバーナム効果などでは説明できない信憑性を感じさせる。

■人間に予知 precognition の能力があることを確かめようとする実験的研究は多数存在する。時間反転プライミングの実験や、ショッキングな映像の提示に先立つ皮膚電気活動(EDA: ElectroDermal Activity)の変化の研究などがある。しかしこれらも効果が認められたとしても統計的に処理してわずかな差が出る程度であり、むしろそのゆえに経験的な感覚と異ならない。

※プライミング priming・・・たとえば「あ○ま」と提示して、○を埋めて単語を作る作業で、先に画面に「あくま」と一瞬(サブリミナルに)提示しておくと、「あたま」や「あんま」より「あくま」と答えやすくなる

■予知は他の超心理現象とは質的に異なり、自由意志と矛盾するために原理的に不可能だという考えもある。(決定論と自由意志の問題)。しかし、物理学的には、予知が可能で自由意志が存在しないモデルも考えることができ、むしろそのほうが時間的な対称性が保たれる。この場合、自由意志によって未来を変えることができることのほうが超常現象なのだといえる。

2007/2550-11-29 改訂 蛭川立