超自然的変性意識状態の機能


■超自然的な変性意識体験には、個人的なものと集団的なものがある。
■個人的なものとしては、シャーマンの体験、とくに巫病体験などがある。
■集団的なものとしては、たとえばインドネシアのバリ島の集団トランス儀礼がある(→バリ島民の世界観)。
■中間的なものとしては、ブラジルの(主にアフリカ系社会の)集団トランス儀礼がある(→ウンバンダの儀礼  )。ここでは、とくに一部の、主に若い女性が憑依状態になり、人々の病気を治療する。

■超自然的な変性意識体験の機能としては、以下のようなものが考えられる。
■集団的には、コムニタス communitas (Turnerの造語)の出現と共同体全体のリセットによる問題解決。
■個人的には、「死と再生」の体験、認知のフレームのリセットによる心身の健康の増大。
■超常的な能力が覚醒する・・・と、少なくとも本人には感じられる、あるいはそれが社会的に公認される。無意識的な直感が意識に昇りやすくなるということはあるだろう。
■他者への共感性、社会的な問題への関心の増大。

■変性意識体験は、日常的な正常な意識状態から特殊なトランス状態に入るというよりは、日常の文化的催眠状態からより「覚醒」する体験であるともいえる。

2007/2550-11-14 改訂 蛭川立