生業と労働時間 Subsistance Economy and Labor Time

生業形態 女性 男性
近代的賃労働 9:35 7:24
集約農耕 9:32 8:36
根菜農耕 5:35 5:11
狩猟採集 6:40 7:11

■上図は経済人類学者ヘイムズによる、生業形態別の労働時間の平均値である。ここから主に二つのことが読み取れる。

■一般に労働時間は女性のほうが男性よりも長い。これは労働時間に家事や子育てを含めているからである。生業形態は異なっても(その是非はともかく)ほとんどの社会で家事労働を女性の仕事と見なす規範が存在している。

■社会の生産力が増大しても、労働時間は減少するというよりはむしろ増加する。これはパラドックスである。集約農耕はより多くの人口密度を維持することができるが、逆にそのために多くの労働時間を必要とすることになる。資本主義経済では消費のために生産するのではなく、より多く生産してより多く消費させなければならないという、一種の転倒が起こっているといえる。

(2005-10-04修正/文・蛭川立)