子宮に還る霊魂?
■立体的表現を得意とした縄文文化にはめずらしい絵画で、埋甕の下部に、赤と黒の塗料で描かれている。(赤と黒で表面を塗ること自体は縄文土器にはよくみられる。)
■黒い頭(髪?)の女性が、両手を広げ、脚を大きく広げて地面に踏ん張って立っているようにみえる。女性であることは、二つの乳房と、誇張して描かれた性器からみてとれる。
■そしてこの女性器と地面の間に、2〜4本の黒い線が描かれている。
■踏ん張っている姿勢からして、これを出産の図とする解釈がある。黒い線を子どもの二本の脚とみることもできなくはないし、後産で出てきた胎盤を描いているのかもしれない。
■逆に、死んだ子どもの霊魂が立ちのぼり、膣を通って子宮に還る姿を描いているのだという解釈もある。
■埋甕が赤ん坊の遺体を入れてその再生を願ったものだという説と、この解釈は整合性がある。
高さ645mm
縄文時代中期
3000-2000 BCE
長野県唐渡宮遺跡
富士見町
井戸尻考古館
(画像は色彩を誇張してあります。関心を持たれた方は、ぜひ実物を見に行ってください。)