走婚と送魂

雲南のチベット系民族、ナシ族とモソ族は、中華人民共和国では別の民族としては区別されていないが、漢民族の影響をより強く受けたナシ族は父系的な社会を構成しており、母系的なモソの社会はより古い社会の仕組みを残していると考えられている。

雲南省のチベット系民族。ナシ族はモソ族は中華人民共和国では区別されていない。

双処ナンカン型。つまり夫婦が同居しない、ハワイ型の親族名称を持つ母系社会。麗江ナシは18世紀の清朝支配の改土帰流によって父系へ移行。父方交差イトコ婚による限定交換が理念とされた。それ以前に交差イトコ婚が選好されていたとは考えにくい。その結果、情死とトンパ教が正のフィードバックにより拡大。モソはその変化を免れる。アチュ婚(走婚)と呼ばれる通い婚の制度が残り、文革後はむしろ民族のアイデンティティとして復活してきている。

民間信仰がチベット仏教の影響で(日本の神道のように)整備され、トンパ教、ダパ教という体系をつくっている。トンパ、ダパという祭司的職能者を中心に体系化されている。