比較的最近読んだ中で面白かった本


 『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』山口悟、一迅社文庫アイリス
 『高校生からわかるフーリエ解析』涌井良幸、ベレ出版
 『代替医療解剖』サイモン・シン、エツァート・エルンスト、新潮文庫
 『幼女戦記12』カルロ・ゼン、KADOKAWA
 『ケーキを切れない非行少年たち』宮口幸治、新潮新書

2020年5月

 『オカルト・クロニクル』松閣オルタ、洋泉社
 『アメリカ超能力研究の真実』アニー・ジェイコブセン、太田出版
 『AIと日本の雇用』岩本晃一、日本経済新聞出版社
 『朝鮮総連』金賛汀、新潮新書
 『売国議員』カミカゼじゃあのwww、青林堂

2019年5月



 『対魔導学園35試験小隊』シリーズ 柳実冬貴、富士見ファンタジア文庫
 『NHKスペシャル 超常現象−科学者たちの挑戦』 梅原勇樹、苅田章、NHK出版
 『Mind over Matter:』 W & M Uphoff、New Frontier Center
 『ブラック・ブレット』シリーズ 電撃文庫
 『ストライク・ブラッド』シリーズ 三雲岳人、電撃文庫
 『魔法科高校の劣等生』シリーズ 電撃文庫
 『公務員ってなんだ? 最年少市長が見た地方行政の真実』 熊谷俊人、ワニブックス「PLUS」新書
 『緋弾のアリア』シリーズ 赤松中学、MF文庫J
 『織田信奈の野望』シリーズ 春日みかげ、GA文庫
 『機巧少女は傷つかない』シリーズ 海冬レイジ、MF文庫J
 『烙印の紋章』シリーズ 杉原智則、電撃文庫
 『メタンハイドレート』 有賀訓、学研
 『精神科は今日も、やりたい放題』 内海聡、三五館
 『彷徨える艦隊』シリーズ ジャック・キャンベル、早川SF文庫
 『戦闘要塞マスラヲ』シリーズ 林トモアキ、スニーカー文庫
 『レイセン』シリーズ 林トモアキ、スニーカー文庫
 『ミスマルカ興国物語』シリーズ 林トモアキ、スニーカー文庫
 『なれる!SE』シリーズ 夏海公司、電撃文庫
 『本日の騎士ミロク』シリーズ 田口仙年堂、富士見ファンタジア文庫
 『バッカーノ』シリーズ 成田良悟、電撃文庫
 『人類は衰退しました』シリーズ 田中ロミオ、ガガガ文庫
 『これはゾンビですか?』シリーズ 木村心一、富士見ファンタジア文庫
 『蒼穹のカルマ』全巻 橘公司、富士見ファンタジア文庫
 『イリヤの空 UFOの夏』全巻 秋山瑞人、電撃文庫
 『とある魔術の禁書目録』シリーズ 鎌池和馬、電撃文庫
 『幽霊を捕まえようとした科学者たち』 デボラ・ブラム、文春文庫
 『レンタルマギカ』シリーズ 三田誠、角川スニーカー文庫
 『戦闘妖精 雪風』 神林長平、ハヤカワ文庫JA
 『宇宙海兵隊 ギガース』1,2,3 今野敏、講談社文庫
 『ST警視庁科学特捜班』シリーズ 今野敏、講談社文庫
 『特殊防諜班』シリーズ 今野敏、講談社文庫
 『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズ 谷川流、角川スニーカー文庫
 『世界平和は一家団欒のあとに 2 拝啓 悪の大首領さま』 橋本和也、電撃文庫
 『零崎双識の人間試験』零崎シリーズ 西尾維新、講談社
 『化物語』 西尾維新、講談社BOX
 『刀語』 西尾維新、講談社BOX
 『クビキリサイクル』 戯言シリーズ 西尾維新、西尾維新文庫
 『灼眼のシャナ』全巻 高橋弥七郎、電撃文庫
 『インディゴの夜』 加藤実秋、創元推理文庫
 『メタル・トレーダー』 徳本栄一郎、講談社文庫
 『神父と悪魔』 志麻友紀、ビーズログ文庫
 『キーリ I〜IX』 壁井ユカコ、電撃文庫
 『9S(ナインエス)』シリーズ 葉山透、電撃文庫
 『狼と香辛料 I〜XII』 支倉凍砂、電撃文庫
 『”文学少女”と月花を孕く水妖』 野村美月、ファミ通文庫
 『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1・2』 ジョン・J・ミアシャイマー 、 スティーヴン・M・ウォルト、講談社
 『ウェブはバカと暇人のもの 現場からのネット敗北宣言』 中川淳一郎、光文社新書
 『「幻」の日本爆撃計画 「真珠湾」に隠された真実』 アラン・アームストロング、日本経済新聞社
 『自衛隊「影の部隊」情報戦 秘録』 松本重夫、アスペクト
 『潜水艦諜報戦(上・下)』 S・ソンタグ、C・ドルー、A・L・ドルー、新潮OH!文庫
 『強欲資本主義 ウォール街の自爆』 神谷秀樹、文春新書 
 『金正日の正体』 重村智計、講談社現代新書
 『私はフェルメール 20世紀最大の贋作事件』 フランク・ウィン、ランダムハウス講談社
 『図書館戦争』シリーズ 有川浩、メディアワークス
 『海の底』 有川浩、メディアワークス
 『空の中』 有川浩、メディアワークス
 『塩の街』 有川浩、メディアワークス
 『国家情報戦略』 佐藤優、高永普A講談社+α新書
 『プレステ3はなぜ失敗したのか?』 多根清史、晋遊社
 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』 武田邦彦、洋泉社
 『プリンに醤油でウニになる』 都甲潔、ソフトバンククリエイティブ
 『脳の栄養失調 脳とダイエットの危険な関係』 高田明和、講談社
 『進化しすぎた脳』 池谷裕二、講談社
 『対北朝鮮・中国機密ファイル 来るべき北朝鮮との衝突について』 欧陽善、文藝春秋
 『モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」 中東現代史を変えた驚愕のインテリジェンス戦争』 エフライム・ハレヴィ、光文社
 『北方領土 特命交渉』 鈴木宗雄・佐藤優、講談社+α文庫
 『医療専門職のための研究論文の読み方』 イアン・K・クロンビー、金剛出版
 『一度も植民地になったことがない日本』 デュラン・れい子、講談社+α新書
 『インテリジェンス 武器なき戦争』 手嶋龍一・佐藤優、幻冬舎新書
 『信長の戦争』 藤本正行、講談社学術文庫
 『ピラミッドの謎』 吉村作治、岩波ジュニア新書
 『逆説のニッポン歴史観』 井沢元彦、小学館文庫
 『日本語の源流を求めて』 大野晋、岩波新書
 『となりのクレーマー 「苦情を言う人」との交渉術』 関根眞一、中公新書ラクレ
 『みどりの香り 植物の偉大な知恵』 畑中顯和、丸善

2015年



 2013年11月

 最近は多くの書店でラノベの文庫が包装されているので、立ち読みで面白そうかどうか確認してから買う事ができなくなった。面白そうな本を発掘するのがむずかしい時代だ。とりあえず、何冊かシリーズで出ていて、アニメ化の話題が出ているなら無難そうだという判断基準が使えるが、内容的にアニメ化がむずかしいが面白いという作品を見つけられないという弱点がある。
 ネットで立ち読みという方法もあるのだが、書店の店頭でスマホで立ち読みって、何だか切なくてやる気にならない (^-^;)


 2011年11月

 ときどき大人向けのライトノベルズも読んでみるのだが、やっぱり子供向けのラノベの方が面白い。 大人向けのSFやファンタジーよりも子供向けのラノベの方がずっと面白いのはどうしてだろう?


 2010年3月

 相変わらずライトノベルズにはまっている。 ここ数年、映画業界は、どんな映画を持ってきても売れないと嘆くことが多いらしい。持ってくるというのは輸入するということなのだが、日本のライトノベルを読んでみると、パターン化した洋物映画より、はるかに面白い。こんなに面白い小説があるのだから、パターン化した洋物が売れないのも無理はない。
 他の「大人」にライトノベルの面白さを教えてあげようと、ずいぶん勧めるだが、食わず嫌いの人が多くて、なかなか面白さを伝えられない。何かいい方法はあるだろうか。
 さすがに、最近の読書ペースは2日に1冊のペースに落ちてきたが、これは、単に、書店の店頭に並んでいるもののうち、これはと思うものを、ほとんど読み尽くしてしまったせいだ。しょうがないので、「大人文庫」にも手を出すことになったが、なかなか面白いものを見つけるのが大変で、ライトノベルのコーナーと行ったり来たりすることが多い。
 つい先日、レンタルマギカを見つけたので、半月ほど楽しませてもらった。これはアニメの方も素敵にできている。2006年からキュウリを生体センサとして実験を続けているのだが、レンタルマギカに触発されて、キュウリを魔法円にしてみた(下の図)。





 2009年10月

 最近、すっかりライトノベルズにはまっている。1日1冊、多いときは1日に2冊、文庫を読んでいる。
 さすがに学園物で満足できる歳ではないが、『文学少女』はなかなか面白かった。ただし、最終巻は、作者が言うように、へたれ全開だったので疲れた。
 『狼と香辛料』は味わいがある。こういう物語が書ける人を尊敬する。ずっと続いてほしい。
 『世界平和は一家団欒のあとに』も面白い。特に2巻目がよかった。


2007年12月

 書名を書き並べて見ると、どうも諜報系の本が多い。そういうのが好きというのもありますが、ここでそういう本の名前を挙げる一番の理由は、インターネット検索で見つかる情報の適否判断のためです。

 ネットで検索すると、実に奇妙な「情報」や、意見というより偏見としか思えない書き込み、情勢の理解が全く不足した解説、デマ・誹謗中傷が無数に見つかります。科学的な事柄なら、ある程度は見ただけで記述の適否を判断できますが、現代史や政治・社会情勢については、精確で、深く、かつ大局的な理解ができていないと、まったく判断ができません。

 授業でネット検索で調べ物をする作業を行ったときにも、学生がそういう問題にぶつかることがあります。そういうときに、背景知識として何を理解していなければならないかを、簡潔に、要領よく説明する必要がありますが、そのためには、こちらも幅広く一般常識(教養)を身につけていなければなりません。

 一度詳しく知っておけば、その後はあまり追加勉強しなくてもよい問題もあります。陰謀論やオカルト系の話題は、ある程度系統的に理解していれば、たいていの場合、適否判断を下すのは容易です。しかし、やっかいなのは、そういうものが現代史や国際関係にからんでいる場合です。


 2007年に実際に経験した例を紹介しましょう。

 ある国立の研究所に勤める中国人研究者(医学系)と話したときのことです。最初は研究の話をしていたのですが、いつの間にか日本の歴史教育の話になってしまいました。きっかけが何だったかは覚えていませんが、その研究者が言うには、
 「日本政府は本当の歴史を隠して、まちがった歴史を教えている。インターネットには、日本政府が隠している本当の歴史が載っている。」
とのことでした。
 「どれどれ、見せてごらん。」
と、見せてもらったサイトは、いやはや、とんでもない歴史サイトでした。

 一時期、万葉集を韓国語で読むと秘密がわかるという類の本が流行したことがあります。こういう本は、冗談として読む分には面白いのですが、結構、本気にする人がいるので困ります。万葉集は韓国語では読めません。そもそも、現代韓国語で読むのがまちがい。それに、日本語は、インドから海上ルートで伝わってきたタミル語の影響が大きいようです(『日本語の源流を求めて』参照)。

 万葉集の場合と同じような感覚で、歴史の一般常識をもった人だったら、件の歴史サイトがでたらめなことはすぐわかるのですが、正しい歴史教育を受けていない人、それも外国人には、ちょっとわからなかったのでしょう。
 もう、どこにあったサイトなのか覚えていないので、詳細を示せませんが、「中国人が周辺の国の名前に、自分たちと親戚であるかのような同格の字を使うことはない」という中華思想を知っているだけで、すぐに、そのサイトの記述のおかしさはわかりました。

 ついでに書くと、変な歴史の本はいつの時代でも作られますが、日本では、特に江戸時代にたくさん作られました。江戸時代は、庶民の生活に余裕があったからというだけでなく、水利権争いなど、村の権益を守るために「おらが村は由緒正しいお墨付きを得ている」ことを示すための偽書作りが盛んだったようです。現在では、偽書か本物かを論じるのが、歴史マニアの楽しみだとか。

 また、超古代史でしばしば取り上げられる神代文字なるものは、ずっと後世になってから作られた文字です。これは、古い時代の日本語は音の数が多い(現代に近いほど音の数が減る)という原則を知っていれば、簡単に判断できます。現代に近いほど音の数が少ないことは、今はワ行の音は「わ」と「を」しか使わないことから理解できるでしょう(もっとも、現在だけ考えると、英語の影響で音の数が増えているともいえますが)。


 もう1つ別の例を紹介しましょう。これは陰謀論の例です。

 9・11同時多発テロでは、いろいろな憶測がなされています。中には、ユダヤの陰謀説まで取りざたされていますが、そんなことはありません(『モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」』参照)。

 9・11の陰謀論で一番閉口したのは、ペンタゴン(国防総省)に旅客機が突入したのはでっち上げだ、という説です。私が聞いたのは、アメリカのどこかのサイトの書き込みに基づいて日本人がまとめた話です。

 何かがおかしいという根拠は、要するに、ペンタゴンに旅客機が突っ込んだにしては、建物自体の損傷がほとんどないということでした。これはアメリカ国内でも話題になって、その疑念を払拭するために、旅客機がどのように突っ込んだのか、コンピュータシミュレーションで解説したテレビ番組も作成されたほどです。だから、日本に住んでいる人がインターネットを調べて、アメリカで話題になっていた陰謀論を信じてしまったとしても、まぁそれほど不思議ではないと言えるんですが。それにしても、この程度の陰謀論を、いい歳の大人が本気で信じてしまうということが、私には全く信じられませんでした。

 こういう問題を考えるときに、重要な点がいくつかあります。1つ目は、日本語で考えるということです。

 ペンタゴンは、英語です。日本語を母国語とする人は、日本語で物を考えるように頭が出来ています。そういう人が中途半端に英語で物を考えようとすると、たいてい、ちゃんと物を考えることができません。たとえば、ここ数年、ステークスホルダーという英語を得意気に使う人がいます。あえて言います。たぶん、その人は利害関係者という日本語を知らないか、あるいはステークスホルダーという概念の理解が不十分なので日本語でどう表現していいかわからないのか、さもなければ、人を煙に巻くためにわざと英語を使っているのでしょう。

ペンタゴンの日本語は五角形ですが、

 「五角形のビルに旅客機が突っ込んだ。旅客機は壊れたが、五角形のビルは壊れなかった。」

 これじゃ何が何だかわかりません。適切な日本語に直してみましょう。

 「国防総省のビルに旅客機が突っ込んだ。旅客機は壊れたが、国防総省のビルは壊れなかった。」

 国防総省といえば、軍の最重要施設です。旅客機が突っ込んでもビルが壊れなかったなら、「さすが軍の重要施設だ。頑丈に作ってある。」と感心するべきです。こんなのは「小学生向けのなぞなぞ」です。

 数日後、実際に小学5年生の男の子に「ビルに飛行機がぶつかりました。飛行機はばらばらに壊れたのに、ビルは壊れませんでした。なぜでしょう?」と聞いたら、「ビルが頑丈だったから」と即答しました。大人になると、子供にも解けるなぞなぞが解けなくなります。

 国防総省のビルは、戦争が起こったときに要塞として使えるように設計されています(5角形なのも、防御戦闘に有利だから)。コンクリート壁の厚さは、最も厚い箇所で3mもあり、とても頑丈です。アルミ合金とプラスチックでできた飛行機がぶつかっても、そう簡単には壊れません。このことは、9・11当時、新聞やニュースでちゃんと報道されていました。

 もう1つ重要な点があります。それは、ちゃんとした記事を読むということです。垂れ流しの怪しげなネット情報ばかり読むのではなく、きちんと整理された報道記事を読むことが重要です。常にそういう習慣を身につけておけば、9・11当時、皆が何に衝撃を受けたのか、簡単に思い出せるはずです。

 皆が驚いたのは、国防総省のビルが壊れなかったことではなく、世界貿易センタービルが「全壊」したことです。当時のTVニュースや新聞記事では、世界貿易センタービルの構造上の理由を詳しく述べていましたし、また、エンパイア・ステートビルだったら全壊しなかっただろうという建築家の意見も紹介されていました。テロを仕掛けたオサマ・ビンラディンですら、ビルの倒壊までは予想していませんでした。

 ほんの数年しか経っていないのに、ビルが壊れたことが不思議だったのが、ビルが壊れないことが不思議だ、に変わってしまったのはなぜでしょう?

 私は思いました。新聞くらい、ちゃんと読んでね。


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