食のおいしさ研究所 (Institute for food palatability and preference) は
- 食のおいしさに貢献する複合化プラットホームとして役割を果たします。
おいしさにかかわる要因として、人間サイドからは生理的(空腹)・心理的(楽しい)・社会的(文化/情報)に整理できます。食品サイドからは化学的(味・かおり=風味)・物理的(食感)要因として整理できます。食のおいしさを科学的に明らかにし、食品開発に役立つようにするためには、ヒトからのアプローチと食品からのアプローチを融合し、統合する必要があります。
- 認知心理学で好き(心地よい)は親近性と新奇性の間にあり、ゲシュタルト(全体性)の重要性が指摘されています。食品の嗜好性は、視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚の五感情報を総動員して経験する中でボトムアップ的に決定されます。しかし、感性的なおいしさはトップダウン的な情報処理が重要だと考えられます。
- 例えば、プリンの感性的なおいしさは、プリンと認識してプリンを食べようと考えた時から(もしくは、プリンを見た瞬間から)、食べる前に脳がトップダウン的に準備し(プリンを期待)し、食べた時のボトムアップ情報と同時に、プリンが「おいしい」と表現します。
- 生理学・心理学・脳科学からのおいしさへのアプローチは、食品開発における目標となる感性的なおいしさを具体化し、食品属性として顕在化できると期待されます。
- 食品のおいしさを実現する具体的方法を科学の立場から提案することを目標としています。おいしさは咀嚼中の風味と食感の【変化】であるとの立場です。また、食品が健康に良いと感じられれば食べ続け、好きになると健康になるという、正のスパイラルが回り始めます。
- 風味:生得的な味に対して経験的な香り。基本5味はおいしさのベースになります。さらに、香りが経験的なおいしさを決定する主要因です。中でも、咀嚼中に感じる香りの変化が重要だと考えられます。最近では、閾値以下の香り成分の刺激がコクなのど感性的おいしさに重要だと明らかになってきています。
- 食感:現在の食品開発では、生得的な知覚レベルの食感表現(かたい・やわらかい)ではなく、おいしさを示す感性的な食感表現(もちもち・もっちり/とろとろ・とろ~りなどの擬態語・擬音語(オノマトペ表現))の実現が求められています。そのためには、おいしさを表現する感性的な食感表現を具体的に制御可能な食品属性(力学的:弾性・粘性/構造的:粗滑・大小)の経時的変化として見える化する必要があります。そして、そのような食品属性を実現する具体的な食品構造の変化のメカニズムを明らかにできれば、あらたな「おいしい」をつくりだすことができます。
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