油滴サイズの異なるフラワーペーストを作製するため、2種類の乳化処理を行った。真空乳化機を用いて攪拌乳化(12,000 rpm)を行い、フラワーペーストを作製したものを‘E:乳化’ 攪拌乳化後、高圧ホモジナイザーを用いて高圧乳化(10 MPa)を行ったものを‘H:高圧’とした。E,Hについて、物性測定として動的粘弾性試験、繰り返し圧縮加算試験 (口どけ食感解析)を行った。口どけ食感試験は水の存在下で行い、試験時の破壊の様子をデジタルカメラで撮影した。また、各種顕微鏡を用いて微細構造を観察した。
【結果】共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)観察の結果、油滴サイズはEが約10 μm、Hは約1 μmであり、油滴サイズの異なるフラワーペーストが作製された。官能評価の結果、油滴サイズの大きなEは口どけが良く、小さなHは口どけが悪かった。繰り返し圧縮加算試験(口どけ食感解析)の結果、水非存在下ではE、Hとも圧縮時の荷重は圧縮回数と共に上昇したが、水存在下ではどちらも3回目圧縮時に荷重の低下が見られた。Eでは3回目圧縮時の荷重低下後、緩やかに5回目まで低下したのに対し、Hでは3回目の荷重低下以降再び上昇した。また、デジタルカメラの撮影の結果、EとHの圧縮時の横方向の伸び率に差があり、EはHより広がりやすかった。また試験後の破片は、Eが分散状であるのに対し、Hは塊状であり、破壊構造に差が見られた。さらに、繰り返し圧縮後を想定した80%圧縮時の動的粘弾性試験ではEの 複素粘度(η*)はHより低く、この低い粘度が分散した破片構造をもたらしたと考えられた。さらに、顕微鏡を用いた破壊構造の観察結果についても報告し、口どけとの関連性を考察する。