Ca誘導性大豆タンパク質-ジェランガム共存ゲルにおける相分離構造と破断特性の関係
○渡部幸一郎,中村卓(明治大院農・農化)
【目的】大豆タンパク質、ジェランガムは共にCaの存在下で熱不可逆性のゲルを形成する。そのため両者の共存系でCaを添加して得られるゲルは成分間にCa架橋が形成されている可能性がある。これまでに演者らは均質な共存ゲルを作成し、それぞれの単独ゲルとは物性が異なること、また共存ゲルはマクロ構造(相レベル)、メソ構造(凝集体レベル)では相分離しているものの、両者のネットワークが相互に侵入していたことを報告した。今回は大豆タンパク質、ジェランガム濃度が共存ゲルの相分離構造、破断特性に与える影響を明らかにすることを目的とした。
【方法および結果】試料には大豆分離タンパク質(以下SPI)と脱アシル型ジェランガム(以下ジェラン)を用いた。ゲル化の方法は今年度の日本食品科学工学会の報告と同様に行った1)。試料濃度はSPIで1-6%、ジェランは0.05-0.4%に調製した。ゲルはクリープメーターにて破断試験測定を行い、CLSM、SEMにより相分離の評価を行った。ジェラン濃度の上昇に比例して共存ゲルの破断応力は上昇したが、SPI濃度とは相関が見られなかった。このゲルについて構造観察の結果についても報告する。1)第54回日本食品科学工学会大会講演集p150