○志野友美,渡部幸一郎, 中村卓(明治大農・農化)
大豆タンパク質はGDL(Glucono-δ-lactone)によるpH低下でゲル化す
る。一方、寒天は冷却によりゲル化する。これらは何れも、ゲルを形成する食感素材であるが、更に健康素材として注目されている。しかし、両者が共存するゲ
ルは単独ゲルよりも軟らかくなる。その原因として不連続な相分離構造を取るためと考えられる。そこで、共存ゲルの用途が広がるように、より硬いゲルの形成
を目標とした。本研究では、ゲル化誘導過程を制御しゲル構造を連続相構造に変えることを試みた。
8%分離大豆タンパク質(SPI)と1.5%寒天の共存溶液を90℃10分
加熱した後50℃に保持した。GDL添加(pH低下開始)後、氷水中で急速に冷却した。また添加後にゲル化pHと温度を通過する時間を同調させるために50℃80分間
保持後、同様に冷却した。一晩冷蔵を経たゲルを以下の分析に使用した。クリープメーターによる破断強度測定では、50℃保持しないゲルより保持したゲルの破
断応力が増加した。構造観察において50℃保持しないゲルは不連続な相分離構造であったのに対し、保持したゲルは連続相が形成されていた。以上のように、ゲ
ル化のタイミングを同調させる事でゲル構造を変える事ができた。