2019年8月 日本食品科学工学会(北海道大:札幌)

市販ギリシャヨーグルトの構造・物性・食感の解析

(1明治大農・農化,2明治大院農・農化) ○宮島桃1,河原井紹博 2,中村卓 1

【目的】

ギリシャヨーグルトの共通の食感として「粘り」が挙げられる。一方で「なめらかさ」など、ギリシヨーグルト間で異なる食感も表現される。その食感は口腔内での咀嚼による食品構造の破壊過程において、力学特性と構造状態が変化することにより表現される。そのため、この力学特性と構造状態がどのように変化しているのかを明らかにすることは重要である。そこで本研究では、破壊に着目した官能評価・物性測定・構造観察を行うことで、ギリシャヨーグルト間で異なる食感発現メカニズムの解明を目的とした。

【方法】

量販店で購入した市販ギリシャヨーグルト3種類(A)、(B)、(C)を試料とした。官能評価では、咀嚼前半・後半を想定した知覚食感5項目と濃厚の計6項目ついて順位法で評価した。物性測定では、咀嚼前半と後半をそれぞれ想定して、レオメーターを用いた動的粘弾性試験を行った。また、構造観察では、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて未破壊および破壊構造を観察した。

【結果】

官能評価の結果、サンプル(C)が有意に濃厚な食感となった。主成分分析の結果、“濃厚”は第一主成分として「口どけ感」と負の相関にあった。また咀嚼後半を想定した動的粘弾性試験のひずみスイープの結果、線形領域(歪率1%) における複素粘度の値は(C)>(B)>(A)の順に大きく、これは官能評価の「口どけ感」と負の相関がみられた。さらにSEMを用いた構造観察の結果、サンプル(A)ではカゼインミセルがランダムに凝集したネットワークが観察された。一方でサンプル(B)、(C)ではランダム凝集ネットワークは観察されず、ストランド状のネットワークが観察された。さらにSEMを用いて破壊ギリシャヨーグルトの微細構造を観察し、食感発現メカニズムを考察する。