○峯木晴香1,林幸枝1,井之上明弘2,中村卓1(1明治大農・農化,2明治大院農・農化)
パスタは、小麦であるデュラムセモリナを原料に作られており、「グルテンタンパク質」が含まれている。このグルテンはアレルゲンとなり、セリアック病を引き起こすことがある。そこで、小麦粉の代替品として、グルテンタンパク質を含まない米粉を用いてパスタを作製することができれば、小麦アレルギーの人達に役立つと考えられる。また、日本の米の消費量は減少しつづけており、パスタでの米粉の利用が拡大できれば、米の消費量の増加に結び付くと考えられる。しかし、グルテンを含まない米粉パスタは、付着性が高く好まれない食感であることが課題となっている。そこで本研究では、付着性を軽減させることを目的として各種添加材(ジェランガム・卵白タンパク・モノグリセリド)の効果を検討した。
原料として、多用途米「タカナリ」の米粉を使用した。ジェランガム0.42%、卵白タンパク3%、ステアリン酸モノグリセリド0.2%、水40%を加え、穴直径2.5mmのテフロン製ダイを使用し、減圧下でパスタマシンを用いて生パスタを作製した。これら生パスタを冷凍保存した。パスタを茹で、それぞれ芯がなくなった時間を茹で時間とした。茹でパスタについて、破断強度試験とテクスチャー測定をクリープメーターを用いて行った。茹で前と茹で後の構造観察を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行った。さらに、官能評価を行った。
茹でパスタのテクスチャー測定の結果、各種添加材(ジェランガム・卵白・モノグリセリド)添加の全てにおいて、無添加よりも付着力が小さかった。特に、卵白添加では付着力が最も小さかった。茹で後パスタの表面構造の観察では、無添加で網目構造が観察された。一方、添加では、網目構造が観察されなかった。また、茹でパスタの断面構造の観察では、表面付近に膨潤澱粉粒が観察されない領域が、無添加>モノグリセリド≒ジェランガム>卵白の順で小さかった。この順は、付着力が小さくなる順と一致した。これらのことから、米粉パスタの構造は添加材により変化し、課題である付着性が改善されることが明らかとなった。さらに、物性・構造・官能評価の相関から、添加材の米粉パスタの食感への効果を考察する。