2014年8月 日本食品科学工学会(福岡;中村学園大)

各種澱粉と大豆タンパク質共存ゲルの破壊物性と構造解析

○李超1,西田衣里2,中村卓1(1明治大院農・農化,2明治大農・農化)

【目的】

食感は食品のおいしさにおいて重要な要因である。硬いや柔らかいなど知覚レベルの食感からとろーり、もちもちなど認知レベルの食感まで、各種食感の組み合わせにより食品のおいしさが実現できると考えられている。実際の食品製造においては添加する澱粉の種類の違いにより食感が異なることが知られている。食感は、咀嚼などの過程により食品構造が破壊されることにより発現すると考えられるため、食感の違いを解明するには破壊過程の解析が重要である。しかし、その破壊過程での食感の発生と食品の構造との関係はまだ明らかになっていない。そのため、食品製造において食品の食感を制御することは困難である。そこで本研究では多様な食感が付与される原因を解析するために、異なる5種類の澱粉と分離大豆タンパクの共存ゲルモデルとして用いた。食品の中でよく見られるタンパク質/澱粉共存系における破壊物性と構造の関係を明らかにすることを目的とした。

【方法】

天然澱粉は小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチの5種類を用い、大豆タンパクはSPIを用いた。最終濃度が澱粉30%、大豆タンパク質4%の懸濁液をエッペンチューブ(直径10mm)に分注後、95℃で10分間加熱、氷水中で10分間冷却し、6℃の冷蔵庫で一晩保存してゲルを作製した。作製したゲルを高さ5mmの円柱に切り出し、クリープメータにて破断強度試験を行った。同時にその様子をデジタルカメラで撮影し、解析した。また、クリープメータで99%に圧縮したゲルを化学二重固定し、走査型電子顕微鏡にて微細構造を観察した。

【結果】

破断強度試験の結果から小麦、馬鈴薯、コーンの破断するグループとタピオカ、ワキシ―の破断しないグループに分けられた。破断するグループは、内部から生じる亀裂により引き込まれていたゲルが元に戻る挙動を示した。また、澱粉粒が界面となって破壊されることが明らかとなった。破断しないグループは、タピオカが高歪領域でも荷重が増加した。これは、タピオカは糊化した澱粉が破壊過程で太くのびたことによりプランジャーに引き込まれ続けたためと考えられる。