(1 明治大院農・農化,2 日本水産(株)中央研究所,3 明治大農・農化) ○片岡明日香1,森由佳2,杉山公教2,中村卓3
ホワイトクリームのおいしさにおいて風味と食感は重要な要素であり、咀嚼により食品構造を破壊する過程で発現する。冷凍コロッケ用ホワイトクリームは加工時に保形性が必要なため、構造形成成分として澱粉やタンパク質が添加される。しかし、保形性が向上すると風味や食感が低下することが知られている。昨年の本大会において、口どけ食感に着目して構造が異なるホワイトクリームの物性や構造の違いについて報告した。しかし、ホワイトクリームで求められている風味である乳フレーバーとの関係は明らかでない。そこで、本研究では構造形成成分の異なる3種のホワイトクリームを用いて、破壊過程に着目した官能評価・物性測定・構造観察を行い、乳フレーバーリリースと食感への影響を検討した。
小麦粉ベースとそれに澱粉またはタンパク質を添加した3種のホワイトクリームを作製した。官能評価は食感について「口どけ」を含む7つの食感を評価した。さらに、風味について乳フレーバーリリースの強度を経時的に評価するためにTI(Time Intensity)法を行った。物性測定はクリープメーターを用いて破断強度試験と繰り返し圧縮試験を行った。構造観察は、圧縮破壊後の様子をデジタルカメラで撮影した巨視的観察や、走査型電子顕微鏡(SEM)での微細構造観察を行った。
食感の官能評価の結果、小麦粉ベースで有意に口どけが良い食感であった。また乳フレーバーの官能評価では、I max(最大強度)のピークが小麦粉ベースで有意に高く、タンパク添加で優位に低い値を示した。物性測定の結果、破断強度試験の荷重に有意差がみられた。また、繰り返し圧縮試験後の構造観察の結果、澱粉添加では分散している様子、タンパク質添加では凝集している様子が観察された。さらに、微細構造の観察結果も踏まえ、ホワイトクリームにおけるフレーバーリリースを力学的・構造的な要因から考察する。
○片岡明日香1,森由佳2,鈴木真人3,竹村裕二2,中村卓1(1 明治大農・農化,2 日本水産(株),3 明治大院農・農化)
おいしさを決定する重要な要因である食感には、咀嚼により食品構造を破壊する過程で知覚される食感(やわらかさ、付着性)がある。この力学特性と相関付けられる知覚食感の複数の組み合わせをヒトは感性的なおいしさとして表現している(口どけ)。食品開発ではおいしい食感表現の実現のため知覚食感の制御が求められる。そのため、感性的な食感表現を具体的な知覚食感表現に見える化する必要がある。本研究では、ホワイトクリームの口どけ食感に注目した。工場で製造される冷凍コロッケ用ホワイトクリームは保形性が必要なため澱粉やタンパク質が添加される。しかし、保形性が向上すると口どけが低下することが知られている。そこで、構造形成成分の異なる3種のホワイトクリームを用いて、破壊過程に着目した官能評価・物性測定・構造観察を行い、口どけを力学的要因・構造的要因から見える化することを目的とした。
小麦粉ベースとそれに澱粉またはタンパク質を添加した3種のホワイトクリームを使用した。官能評価では「口どけ」と知覚レベルの6つの食感について、口に入れてから飲み込む前までの咀嚼時間を意識した評価を行った。物性測定では、クリープメーターを用いて口どけ食感解析を行った。構造観察では、圧縮破壊後の様子を各種顕微鏡で行った。
官能評価の結果、小麦粉ベースで有意に口どけが良い食感であった。知覚レベルの食感ではすべてで有意差がみられた。主成分分析の結果、澱粉添加による口どけの低下は付着性、タンパク質添加による口どけの低下は舌触りのざらつきと考えられた。物性測定の結果、口どけ食感解析時の最大荷重に有意差がみられた。この圧縮破壊後の構造観察の結果、澱粉添加では亀裂があまり入らない様子、タンパク質添加では不揃いの大きな亀裂がみられた。微細構造の観察結果も踏まえ、口どけ食感を構造的・力学的な要因から考察する。