澱粉はタピオカ加工澱粉4種(アセチル化[AC]、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋[HPC]、低置換・高置換アセチル化アジピン酸架橋[L-AD, H-AD])を用いた。澱粉・卵白混合懸濁液を、95℃で10分間加熱後、25℃で30分間常温に戻し、作製直後ゲルとした。さらに-20℃で24時間、常温で1時間の冷解凍処理を2サイクル行い、冷解凍ゲルとした。クリープメータにてゲルの破断強度試験と10回繰り返し圧縮試験を行った。4種の冷解凍ゲルの「もちもち感」について、一対比較法にて官能評価した。
【結果】破断強度試験の結果、L-ADは冷解凍処理により圧縮初期の立ち上がり荷重ともろさ荷重が増加した。HPCは作製直後と類似した物性を示した。10回繰り返し圧縮試験の結果、L-ADは冷解凍処理によって圧縮の繰り返しに伴う応力低下の程度が大きくなり、さらに付着性も減少した。他の3種は冷解凍処理しても作製直後の物性が維持された。冷解凍ゲルの官能評価の結果、「もちもち感」はHPC>H-AD>AC>L-ADの順で高かった。HPC、H-ADは、冷解凍後も圧縮初期のやわらかさ、後期のかたさ(噛み応え)、複数回圧縮時のかたさ(噛み応え)、付着性といった知覚が維持されたために、「もちもち感」を強く感じたと考えられる。以上の結果より、タピオカ澱粉の加工方法として、高程度の耐老化性置換、軽度の架橋が冷凍冷蔵食品の「もちもち感」に効果があることが示唆された。
1) 日本農芸化学会2014年度大会 大会プログラム集2B02a02