2014年8月 日本食品科学工学会(福岡;中村学園大)

ゼラチン・寒天混合によるプリンの食感変化の解析

○稲員知尋1,佐藤友香梨1,上川理絵2,井上慶太2,中村卓1(1 明治大農・農化,2 明治大院農・農化)

【目的】

プリンのおいしさにとって食感は重要な要因である。また、市販されているプリンにはゼラチン、寒天、カラギーナンなどのゲル化剤が添加・併用されているものが多く存在し、ゲル化剤によって様々な食感のプリンが生み出されている。そこで本研究ではゲル化剤の中でも特徴が異なる2種類のゲル化剤、ゼラチンと寒天を混合したときの食感の変化について物性や構造から明らかにすることを目的とした。

【方法】

ゼラチンと寒天をそれぞれ添加したときのプリンが固まる最低濃度を調べ、その2倍の濃度となるゼラチン1.4%、寒天0.4%を添加した。ゼラチン単独、寒天単独、さらに2種のプリン液をゼラチン:寒天=50:50、75:25、25:75の割合で混ぜた、計5種類のプリンを作製した。物性測定として、クリープメーターによる破断強度試験、レオメーターによる動的粘弾性試験を行った。構造観察として共焦点レーザー走査顕微鏡による成分分布構造観察、走査型電子顕微鏡による未破壊時および99%圧縮破壊時の微細構造観察を行った。また、5種のプリンについて官能評価を行い、SPSSによる分散分析、主成分分析を行った。

【結果】

物性測定の結果、75:25はゼラチン単独と、25:75は寒天単独と似たような傾向を示したのに対し、50:50はゼラチン単独と寒天単独両方の傾向を示し、破断強度試験での歪率75%までにかかる総エネルギーが最も低かった。未破壊時微細構造観察ではゼラチン単独以外の全てのプリンに25:75>50:50>75:25の割合で繊維状の構造が観察された。破壊時では250倍で全てのプリンに亀裂が観察され、亀裂のサイズは寒天単独>25:75>ゼラチン単独>75:25、50:50であり、50:50が最も亀裂が小さかった。さらに、亀裂を高倍率で観察するとゼラチン単独と75:25でのみ亀裂の先端でタンパク質が伸びた構造が観察された。官能評価の結果、“やわらかさ”、“くずれやすさ”、“くちどけ”、“ながれやすさ”は50:50、 “ねばり”はゼラチン単独、“ざらつき”は寒天単独が最も高い評価となった。これらの物性・構造・官能評価の関係性について考察する。