グミキャンディは、固形分濃度でゼラチン5%と一定にし、ゼラチン単独グミ、ペクチン2.5%添加グミ、アラビアガム15%添加グミの計3種類を用いた。さらに、4種類の香気化合物(Ethyl propanoate, cis-3-Hexenol, Damascenone, Methyl anthranilate)を含むグレープ合成香料を全体量に対し0.5%添加した。これらについて、物性測定として破断強度試験を行い、構造は走査型電子顕微鏡にて観察した。また、香気分析において、ヘッドスペースに放出された香気化合物を、SPME(PDMS/DVD)により捕集した。未破壊のグミ(円柱型:直径14 mm, 高さ5 mm)では、平衡状態にて捕集し、破壊(咀嚼)をイメージした条件では円柱型のグミを5 mm立方体に切断し、非平衡状態にて37℃の超純水を加え撹拌してから捕集し、GCによりリリース量を測定した。
【結果】破断強度試験と構造観察の結果から、多糖類(ペクチン、アラビアガム)を添加する事でゼラチンと相分離構造を形成する事が確認された。また、未破壊グミでのアロマリリース分析で、Damascenooneが3種類のどのグミにおいても検出されなかった。ペクチン添加グミで、ゼラチン単独グミと比較すると、構造内に保持されずに放出される傾向を示した。このことは、ゼラチン/ペクチン共連続構造による間隙構造が原因であると考えられる。一方、アラビアガム添加グミで、ゼラチン単独グミと比較すると、Ethyl propanoate, cis-3-Hexenolにおいてグミ構造内に有意に保持された。このことは、ゼラチン-アラビアガム共存グミによるコアセルベート構造の分散相内(アラビアガムリッチ相)に香気化合物が保持されたためであると考えられる。また、破壊(咀嚼)をイメージしたフレーバーリリースの分析についても報告する。
(1)第56回日本食品科学工学会 p125 3Bp10