2013年3月 日本農芸化学会本大会(仙台;東北大)

グミキャンディにおけるアロマリリースへの相分離構造の影響

○廣瀬 修吾1、長谷部 智久1、齋藤 健太2、中村 卓1 (1明治大農、2明治大院農)

【目的】

食感と風味はおいしさにとって重要な要因である。食品構造は食感に大きく影響するだけでなく、構造内の香気化合物(低分子量化合物)を保持することにより、食品の香り(アロマリリース)にも影響する。また、グミキャンディは食感と香りを楽しむ菓子である。グミキャンディの構造はゼラチンがネットワークを形成している。これまでの研究により、多糖類であるペクチン・アラビアガムを添加することで、ゼラチンと相分離構造を形成し食感が変化することを明らかとした(1)。しかし、相分離構造の形成により、アロマリリースに与える影響は明らかではない。そこで本研究では、グミキャンディにペクチン・アラビアガムを添加した異なる相分離構造がアロマリリースに与える影響について検討した。

【方法】

グミキャンディは、固形分濃度でゼラチン5%と一定にし、ゼラチン単独グミ、ペクチン2.5%添加グミ、アラビアガム15%添加グミの計3種類を用いた。さらに、4種類の香気化合物(Ethyl propanoate, cis-3-Hexenol, Damascenone, Methyl anthranilate)を含むグレープ合成香料を全体量に対し0.5%添加した。これらについて、物性測定として破断強度試験を行い、構造は走査型電子顕微鏡にて観察した。また、香気分析において、ヘッドスペースに放出された香気化合物を、SPME(PDMS/DVD)により捕集した。未破壊のグミ(円柱型:直径14 mm, 高さ5 mm)では、平衡状態にて捕集し、破壊(咀嚼)をイメージした条件では円柱型のグミを5 mm立方体に切断し、非平衡状態にて37℃の超純水を加え撹拌してから捕集し、GCによりリリース量を測定した。

【結果】

破断強度試験と構造観察の結果から、多糖類(ペクチン、アラビアガム)を添加する事でゼラチンと相分離構造を形成する事が確認された。また、未破壊グミでのアロマリリース分析で、Damascenooneが3種類のどのグミにおいても検出されなかった。ペクチン添加グミで、ゼラチン単独グミと比較すると、構造内に保持されずに放出される傾向を示した。このことは、ゼラチン/ペクチン共連続構造による間隙構造が原因であると考えられる。一方、アラビアガム添加グミで、ゼラチン単独グミと比較すると、Ethyl propanoate, cis-3-Hexenolにおいてグミ構造内に有意に保持された。このことは、ゼラチン-アラビアガム共存グミによるコアセルベート構造の分散相内(アラビアガムリッチ相)に香気化合物が保持されたためであると考えられる。また、破壊(咀嚼)をイメージしたフレーバーリリースの分析についても報告する。 (1)第56回日本食品科学工学会 p125 3Bp10